脱皮が不完全だったよちよちくん。




一週間ほど前から餌をあまり食べなくなり、水ばかり飲むようになっていた。


分かってはいたものの約ひと月

あまりに短い別れ。


朝までまだ辛うじて動いていたが昼過ぎ、

完全に命を燃やし尽くしていた。


いつも追いかけ回すオスが触覚で探りながらに動かないよちよちの側にいた。


そもそもカマドウマに仲間意識があるのかはわからない。

ただ、こうした光景は何度か見たことがあった。

もう動かない仲間の側にまるで寄り添うようにじっと佇んでいる。


雨がちょうど上がり、腐敗か早いカマドウマを埋葬した。

よちよちは野外に解放するには片脚かつ反対の脚が変形しているので悩んだ末に最期まで飼育することにした。


心の防御本能なのか悲しみがイマイチ湧かない。


泣いても奇跡は起こらない。

諦めと心のどこかが枯れていく感覚。


もう片方のオスは元気なので今夜逃します。




よちよちはよちよちなりに必死に生きて死んでいった。

一度メスと一緒にした際に交尾をした形跡があったのでもしかしたらそのメスに命のバトンが託された可能性もある。



お休みなさい。

さようなら。