今回は中々暗い内容なので記録としてのみ残します。
何故かいつも瀕死の昆虫と遭遇すり確率が多い。
この時期から一番多いのはトンボ。
去年も見つけた力尽きたコシアキトンボたち。
メス。オスは白い模様をしている。
ある程度知識があると助からないと分かってしまう。
人の出したゴミが絡みつき、何とか取り除いたが硬直が始まっていた。
干渉を許されない、死という絶対的な宿命。
こんなに立派になって
本来ならきっと空を飛んでいただろう。
迷い込んだ場所が悪かった、と語るにはあまりに虚しい。
トンボは死ぬとまるで合掌したように脚を畳む。
こんな知識は要らない。
だからと言って目を背ける事も出来ない。
蝋燭の芯が燃え尽きる瞬間の刹那の大きな焔のように全身を震わせながら、やがてその命を終えた。
トンボはいつも死の間際、それこそ体をくねらせてまで飛ぼうとする。
何度も見てきた光景。
どんな奇跡も起こらない。
絡みついた糸屑を取り、ただのゴミとして片付けられないよう草の生い茂る場所へ安置した。
あまりに高度に進化したトンボの目はガラスを認識出来ない。
一度迷い込んだら最期となる。
だからいつも駅を心の中で鉄の棺と読んでいる。
せめて生きていた証として記録すること。
人でありながら時に嫌になる瞬間。
月は雲に覆われどんよりとした夜空へと変わっていた。