はーい。「中高生へのメッセージ」ですよ。今日のテーマは「勉強はそこそこ出来るけど、勉強が面白いとは思えない。これは勉強が足りないからでしょうか。それとも……?」というもの。こういう悩みの持ち主というのは、比較的少数派なんじゃないかと思うんですけどね。それとも、結構いるのかな?
<大前提として>
大前提として、「勉強は面白いと思えないとのことですが、では貴方は勉強以外の何が面白いと思っていますか?」という質問をさせていただく必要がありますね。そこで「うーん、面白いと感じられるものがあまりありません」と答えるようなら、それは「勉強が面白くない」というのが問題なんじゃなくて、「何事も面白いと感じられない」こっちが問題ですよね。
何事も面白いと感じられないのは、感性が眠っているからだと考えられます。だから、先にそいつを叩き起こしておきましょう。感性の叩き起こし方ですが、人間を叩き起こすのと基本的には同じです。強い刺激を叩きつけてやればよろしい。刺激の強いもの、というのはいろいろあります。ただ、耳が聞こえない人に音が鳴る目覚まし時計を与えても無意味なように、その人がちゃんと反応する刺激を与えないと意味がない。まぁ刺激の例としては、本、テレビ、映画、人間との接触などがあります。本は難しい本である必要はない。読んで楽しいと感じるものであれば結構です。マンガでも宜しい。優れたマンガも存在します。ただし内容がシリアスな、気合の入ったもの限定です。一概には言えないとはいえ、ギャグマンガは総じて、感性を叩き起こす役には立ちませんね。テレビはNHKのドキュメンタリー等をお勧めします。昔は真面目で難しいものばかりでしたが、最近は硬軟いろいろあります。もしお金をかけても良いなら、往年の名作「映像の世紀」「世紀を越えて」などのDVDを購入するのもありです。映画は、ちょっと芸術的センス・文学的センスのある人向け。ハリウッドアクションは避けて。いわゆる名画と呼ばれるものがお勧めです。人間との接触は、実際にチャンスがあるかどうかという問題があるので、接触しましょうそうしましょう、というわけには行きませんが、「ボランティア活動に参加する」なんてのは一つの方法です。刺激の強度としては、やはり実際に人間と触れ合うのが刺激の強さでは最強ですが、実体験は漫然としていて、整理されるのに時間がかかります。その点、本は概して刺激強度は弱い傾向がありますが、他人の整理された考えに触れることは、論理性をも同時に鍛えてくれて、経験を整理するのを助けてくれる働きがあります。バランス良く摂取するのが良いでしょう。人間の悲喜劇、美しいものや醜いものをたくさん見てください。良いものに感動し、悪いものを憎むセンスが身につきます。
<しかし勉強はピンとこない。はて?>
では、「それなりに面白いと感じることはあります。感性が死んでいるわけではありません。でも勉強はピンときません」という方について。この場合、勉強に対する態度を疑ってみましょう。数学に関しては、これが効く場合があります。
貴方は勉強を「真面目に」やっていませんか? 真面目に、堅苦しく勉強に臨んでいたら、面白くないに決まっています。中には真面目に真面目に勉強しているうちに、ムラムラと快感が沸き上がってくる、とかいう凄い人もいるかも知れませんが、それはごく一部の「選ばれし者達」の話。普通の人は、真面目にやっていたら、肩が凝るだけです。
自分は勉強を真面目にやっている、という自覚のある人は、もっとわんぱくに、いたずらっぽく、あるいは粋がって、ひけらかして、茶目っ気をもって、勉強に取り組んでみてください。例えば、勉強しながら頭の中で(へっ、こんな問題を俺様にやらせるんじゃないよ!)(ザコはどいてろ! オラオラ!)とか、啖呵を切りながらやってみる。それ変な人だよ、なんて言っていては駄目です。勉強が面白いだなんて、ちょっと変な人に決まっているではありませんか。「勉強を楽しめるようになりたい、でも変な人にはなりたくない」だなんて、無理な相談です。外にも、問題を解きながら(お! こんなところに簡単な解き方発見。俺ってアタマいい~!)とか、自画自賛するのも良い。とにかくテンションを上げてください。一人で打ち上がってよろし。ノリノリに問題を解きまくっていれば、成績もますます上がるし、なんか楽しめます。なんかワカンナイけど楽しくなります。馬鹿っぽいけど、ちょっと馬鹿な方が楽しいです。あとは、テスト時以外なら「解けた問題の別の解法・別の出題例を考える」なんてのも良いでしょう。より素早くできる解法、より一般的に使える解法を編み出したり、より難解な問題設定にも対応できることを確かめたりする事は、「ワーヲ自分かしこいじゃん!」と、妙な自己陶酔に導いてくれます。
「なにそれ、自分に酔っててキモチワルイ」とか思う方も、いらっしゃるかもしれない。しかし格好悪いとか気持ち悪いとか言ってたら、「面白い」なんて感覚はもてませんよ。ワーッと没頭してこそ「面白い」と思える。自分を冷静に見ながら、かつその世界を楽しむなどという境地は、あと二十年くらいしてから達すればよろし。今は走りなさい。ゆっくり歩くのは、走る体力が無くなってからでも遅くはない。
<そんなイイカゲンな方法しか無いんですか>
いやいや、ありますぞ。ほかの方法。今度は主に理科社会に効く方法です。「より広く深く勉強し、知識を関連させ、全体を把握する」という方法です。
例えば社会。日本の山脈の位置と名前とか、覚えるのはいいけれど、萎えますよね。その山の名前が何の役に立つのか、と。しかし、関東平野など平野部の都会に住んでいると分からないと思いますが、山脈というのは結構、交通の妨げになるわけです。越えようったって急峻だし、トンネルをブチ通すのも金がかかる。そこで道路や鉄道というのは、概して山脈を避けて通ることになる。すると町は山脈沿いにできた道路に沿って展開される。すると人の流れは交通事情に制約されるから、まあ日常的に利用できる範囲内の交通路上に、日常の最低限度の商業施設ができる。そこの人の暮らしが、利用可能な商業施設に、ひいてはその地域の交通事情に、さらにはその地域の地理、山脈や川に、影響を受ける。あるいは、企業の事業展開が山脈や川に影響を受ける。よくよく調べてみると、けっこう生活と関連するわけです。あるいは、東京の大きな公園は大体が旧日本軍の施設跡だ、とか、県内の交通機関を見ると当該地域の文化的断絶、ひいてはかつての藩の支配領域が透けて見える、とか、いろいろ調べると「へぇ~」と思うことがある。これは歴史や理科でも同じことで、学校で習う範囲だとピンとこない内容が、より詳しく調べて見ると「なに! そうだったのか!」と思うことがある。この「!」がポイントなんですね。「!」が興奮を生む。勉強が進む。
この方法を実践するためには、新書サイズの本を多読するのが有効です。NHKブックスにも良書が揃っています。「それなりに勉強はできる」という貴方の脳は、きっと刺激を求めているはず。腹ぺこ脳みそは知識をほしがっているはず。いっぱい食べさせてあげましょう。元気が出ます。ただし「本の虫」にならないよう、気をつけて。
以上、勉強が楽しくなるかもしれない、あの手この手でした。まぁ勉強なんか楽しまなくて良し、という考え方もあるから、気楽に考えておくのが良いんじゃないでしょうか。重く考えると、余計に楽しめなくなりますから。
皆さんが楽しんで勉強できますように。