天皇の料理番[下] | 雑読日記

雑読日記

読んだ本の感想など

杉森久英「天皇の料理番」下巻です。
上巻では精養軒に勤め始めた主人公が
フランスに料理留学して研鑽を積み、
宮内省の主厨長として功成り名遂げる物語です。

後半は前半から一転してトントン拍子ですね。
この辺は史料との兼ね合いもあって、
ある程度ベースとなる事実があるだけに
小説家がフィクションを描きにくい所か。

フランスでの人種差別的な扱いや、
職人気質という名のパワハラその他は
現代の価値観とそぐわないですが、
歴史物を読むときは忘れなければ……。

そうは言っても気になっちゃうんですけどね。

大正から昭和戦前にかけて成功した人だけに
非常にパワフルに自分の信念をもって
人生を切り拓いているところは
好感持てる人物でした。