後半追加。
「ディアッカ…」
そっとベッド脇に歩み寄り、怪我をしていない右手をそっと握る。自分でも何故そんなことをするのか、よく分からないまま。すると握り返され驚いたが、それ以上の動きはなく、薄暗い中では起きたのかどうかよく分からなかった。ただ、彼が頑なに言葉にしようとしない痛みを訴えられているようだった。
大丈夫、ゆっくり休めばきっとすぐに治るから。私がついているから、だから今はただ休んで。
すると余程痛むのか、ぎゅっと握られ爪が皮膚に食い込んで少し痛んだ。でも声は出さず、優しくその手を包み込んだ。大丈夫だから、もう、きっと…。
この怪我が治れば、いや、治らなくても再び戦闘になれば彼は出撃していかなければならない。私が送り出すのだ。それがAAに残りバスターに乗る彼の運命。そしてまたいつか怪我を負って帰って来るのだろう。…生き帰ってくれるだけ幸運なのは、痛い程分かっているけれど…。
これくらいの痛み、私が代わってあげるから。痛いの痛いの飛んでいけ。思わず願った。
しばらく寝ていて目覚めると、薬が部屋に届けられていた。痛みにうなされていた記憶があるが、彼女が来てくれたのだろう。翌日食堂で会うと、その手に絆創膏が貼られていたのにすぐ気付いた。それではっとした。夢現に何かに縋ったような気がする。痛みを取り除こうとするように、何かが優しく触れてくれていた気がする…。
…あれは現実で、彼女の手だったのか。彼女を傷付けたなんて申し訳なく思うと同時に、寄り添って心配してくれていたことに感動し、感謝した。
ごめんな、もう心配させないから。この手でちゃんと守り抜くから。