どうしてお前が死ななければならなかったのだろう。
命を代償に罪を償わねばならないのは組織で、奴らが殺したいのはこの俺なのに。
組織にとっては、何の価値もないただの女だった。ただ単にシェリーの姉で、いざという時人質になる、程度の存在だった。志保と俺にとっては、この世で最も大切な存在だったのに。
FBIに目を付けられなければ、死ぬことはなかった。俺が接触しなければ、今もお前は妹を想い、内心組織を恨みながらも生きていた。それなりに幸せな人生を贈れた筈だ。無駄な希望を抱くことなく、いつかは救われるかもしれないと夢見ながら。
どちらが幸せだった?…聞くまでもない、死んでは何もならない。
一体何と謝れば良い?どう償えば良い?俺に泣く資格などない、お前の方が辛かっただろう。
一日たりとも忘れたことはない、思い出さない日などない。繰り返し何度も考える。
明美…。せめて最後の約束だけは、叶えると誓おう。
”志保をお願いね”。
あぁ、命にかえても守ってやる…。