ジンシェリ、ウォッカ  後釜 | 雑種犬 G種ディアミリ/テニミュリョ桜王子/DCジンシェリ・秀明 等小話ブログ

シェリーが逃亡した直後、ラボ内に手引きした者がいないか徹底的に調べた。ひとりずつ尋問していったが、皆答えは同じだった。

 

「シェリーは仕事以外の話は一切しなかった。プライベートは何も知らない。何を考えているのか分からない、不気味な女だった。あんな女を逃がす手伝いをして何の得がある?」

 

そしてある者はこう言った。

 

「我々は所詮、多少頭の良い科学者。だがシェリーは本物の天才だった。我々が束になっても彼女には敵わない。シェリーの代わりは、残った者の中にはいない」

 

 

 

全員の話を聞き終え、うんざりしながらウォッカは言った。

 

「言うことは皆ほぼ同じ。どうやら鼠はいないみたいですねぇ。でもどうします?外部に協力者がいたとすると、探すのは厄介ですぜ?」

「…組織の外に、あの女を救うものなどいねぇ。あの女は、組織の中でしか生きたことはねぇんだからな」

「行き当たりばったりに逃げ出しただけ、ってことですかい?」

「あの女が立ち寄りそうな所は限られる。虱潰しに探すだけだ」

 

「…となるともうひとつの問題は、誰がシェリーの研究を継ぐか、ってことですが…。取り合えず副所長にやらせますが、あの男大丈夫ですかねぇ?兄貴に睨まれてガタガタ震えて、まともに喋れもしませんでしたぜ?」

「あの男の管理はお前に任せる。兎に角死に物狂いでやらせろ」

「了解」

 

 

 

シェリーの代わりなど、勤まる者はいないことは分かっていた。ジンに対してまともに会話ができるのも、組織のことをよく理解しているのも。銃を撃て、爆薬や毒薬の知識を有するのも。シェリーの代わりなどいないのだ。そんなことは分かっている。

 

だがお前は生かしてはおけない。組織から逃げたこと、この俺を裏切ったこと、血の涙で後悔するが良い、シェリー…!

 

 

 

 

 

 

この辺の話、もうちょっと色々書きたい。