昴哀+α  捨拾 | 雑種犬 G種ディアミリ/テニミュリョ桜王子/DCジンシェリ・秀明 等小話ブログ
イメージソング 阿部真央 『まだ僕は生きてる』
 
 
捨てる神あれば拾う神あり、とは、あながち間違っていないのかもしれない。
最も神に関しては、1ミリも信じてはいないけれど。
 
地獄のどん底に突き落とされた日。
私の苦しみ痛みが分かる人間、私より不幸な人間など、この世に存在しないと思った。
 
こんな人生、夢も希望も生きる意味も何もない。
だから死のうとした。
 
 
 
けれど…。
何の因果か今こうして、姿と名前を変え、別の場所でこうしてまだ生きている。
 
お姉ちゃんはもういないけれど。
組織は未だに闇の世界にのさばり、あの男は未だに、シェリーを諦めてはいないだろうけれど。
 
それにしても、それなりにこうして、生きる意味や希望や、楽しみや喜び…。
知ってしまった。
あの世界にいたままでは、決して知ることが出来なかった全てを。
 
お姉ちゃんがあの日、命懸けで与えてくれたこの命、この世界。
無駄には出来ない。
 
人生捨てたものじゃない。
お姉ちゃんと、博士や探偵団の皆のお陰で、そう思えるようになった。
 
この生活とお別れする日が来たら、また死にたくなるだろうけど。
その日まではこの陽だまりの中で、笑っていても良い…?
 
 
 
★オマケ 昴哀
 
「ついでにリビングのライト、換えてってくれない?」
「お安い御用です。LEDですか?」
「さぁ?私が知る筈ないじゃない。
前回換えた時、私はここにいなかったんだから」
「…そうですね」
 
私がここに来て、『灰原哀』が誕生して、まだ数ヵ月。
ひと昔前の蛍光灯なら、寿命はどれ程だろう?
 
どちらにしろ、新しいソレが切れる頃、私はここにはいないだろう。