ASD者に対してやってはいけないことその1ですが、
ASD者が納得するまで説明しようとする
ということです。
これは、
定型の概念をASD者に対して押し付ける行為
なのです。
ASDにはASD特有の世界があり、ASD特有の概念がある
のです。
「間違ったことを正すのは当然じゃないか!!!」
と思った人もいるでしょう。
たしかに
ASD者が間違った行為をしていた場合に、正しい方向へ導くのはとても大切なこと
だと思います。
しかし、
多くの方はASD者を納得させるための技術を持ち合わせていない
のです。
例えて言えば岩もてこの原理を使えば動かせますが、てこの原理を知らない人は岩をただ押そうとしていて四苦八苦します。
それと同じで、ASDという岩を必死で正面から押しているというむなしい努力をしているのです。
また、多くの方は、ASDの概念、ASDの世界にまで踏み込み、そこを治そうとしてしまうのです。
「じゃあ、その見極めはどこなの?」
と思った方もいるでしょう。
では、その見極めを述べたいと思います。
その見極めは、時間の無駄かどうか
です。
多くの方がASDの方を納得させようと、何分も何十分も、へたしたら1時間、2時間説得、納得させようとします。
しかし、ほとんどの場合、それは、
時間の無駄
なのです。
「身も蓋もないことを・・」
と思った方もいるかもしれません。
そうなのです。
実際、身も蓋もないのです。それが「発達障害」なのです。
何回か説明して、
「あ、これはだめだ」
と思ったら早めに切り上げたほうがよいのです。
「そうは思えない!!!、私はあなたの考えに賛同しない!!!」
と思った方もいるでしょう。
今、目の前にいる夫が説明してもだめな人間だなんて認めたくない
と思っているでしょう。
きちんと筋道立てて、長時間、説明すればわかってくれるはずだ
と思っているでしょう。
でも、だめなものはだめなのです。
「あなたは当事者ではないでしょう。わかったような口を聞かないで」
と思う人もいるでしょう。
そうですね、
私は第三者だから、軽々しくそのように言えるのです。
当事者視点で見たら、そうは思えないでしょう。
だからこそ、どこかの時点で第3者の視点に立ち、冷静にならねばならない
のです。
今、目の前にいるのは、発達障害、説明しても無駄なんだ
と。
いや、説明しても無駄というわけではなく、多くの方は、発達障害者に対して過剰な要求をしているケースがほとんどなのです。
そして、ASD者を納得させる技術もないのに、長時間、ASD者に説教を始めるのです。
なんとか説得しようとしているとき、ASD者の心に寄り添っているでしょうか?
なんとかねじ伏せようとしているのではないですか?
発達障害者は、生まれながらに脳の中で「杖をついて歩いている人」なのです。
なので、その部分をカバーしながら人生を生きてきた方々なのです。
当然、定型とは生き方、思考は変わってくるのです。
それに対して定型の思考をそのまま押し付けても彼らは納得しないのです。
長々と説得、説明しようとすればそれはやがて「支配」「束縛」「抑圧」へと変わっていきます。
それは発達障害者にとって好ましい状況ではありません。
そうなると、夫も苦しいし、妻も苦しいし、誰もhappyになれないのです。
嫌なら離婚すればいいのです。
それがお互いにとって幸せだったりするのです。