「やばそうなの」知色は夜道を歩きながら答える。
「今夜は非番だ。くるか?それとも・・・」
「行くわ」相手が言い終わる前に知色が答える。
「分かった。気をつけて」といって電話が切れた。
「気をつけて・・・ね」知色は独り言をつぶやきながら、この世の中で何を気をつけろというのか、と苦笑いした。電話をしながらすでに相手の家の方向へ歩いていた知色は途中の公園を横切ろうとした時、嫌な空気を感じた。『汚れた空気が二つ』心の中で、そうつぶやいた。そして暗くて視界の悪い場所でひとりが知色の前に、もうひとりは知色の後ろに立った。知色の前に立った男は明らかに防弾チョッキを着用しサングラスをかけていた。恐らく後ろの男も一緒だろうと思った。
「マナーが悪いわね。用があるならサングラスを外したら?」知色は驚くことなく、さめた口調でそう言った。
「あんたを知っているんでね。あんたの恐ろしさも」
「ご用件はなに?」
「あんたに来てもらいたい」といって男は銃口を知色に向けた。それに対して知色はサラリと
「ごめんなさい、今夜はこれから行くところがあるの」と答えた。すると後ろの男が
「ふざけるな」といって両腕を知色の首に回してきた。
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知色がチャイムを鳴らすと、男がドアをあけた。知色の全身をざっと見た男は背中を向け、部屋の奥へ向かいながら、「随分汚れてるな」と言った。
「ええ、やりたくも無い運動をちょっと」
「やりたくない運動なんて、なかなかできるもんじゃないだろう」
「ええ、普通はね。シャワーを浴びたいんだけど」
「どうぞ」
「何か着るものない?」
「クローゼットから自分で探して」
「まるで夫婦ね」
「婚姻届でも出す?」小さく鼻で笑った後、男は呆れたように、そう言った。
「遠慮しておくわ」知色は微笑んで見せてから適当に着替えを手にしてバスルームへ向かった。
知色はシャワーを浴びながら、公園で男が言った言葉を思い出していた。
「あんたがジェイジーなんだろう?」
知色は心の中でつぶやいた『JGって何?』

