ひとりで生活するにはかなり広い空間だろう。そこは真っ白い四角い場所だった。部屋と呼ぶべきかどうか、わからない。ただ、いつも読む本の中に出てくる部屋とは異なる気がする。温かさを感じない、冷たさを実感できる壁に囲まれている。そんな壁をベッドに腰をかけながら部屋を眺めてみる。
カメレオンのように壁とドアが同化しているが、僅かな光の加減なのかそこがドアであることが分かる部分が3箇所。一つはBCが座っている位置からみて右手。残りの2つは左手にある。
そしてもう一箇所存在する。ただし、そこは自分の意思では開けられない。ある条件が満たされたときだけ開く。時に人の意思で開くがそれは内側からではない外側から。それは彼らが”窓"と呼ぶ場所のすぐ隣、現在のBCの位置からみて斜め前に存在する。窓。BCはこの部屋に窓は無いと思う。彼らに「ここが貴方の部屋です」と言われるたびに「窓が無い」と言い返してきた。しかし、彼らの答えはいつだって同じ。
「あるではありませんか、ここに」
彼らが言う“窓”とやらに目を向けると、この空間がまるで森の中心部に存在するような木が生い茂った景色を見ることができる。彼らのお決まりの返答を知りながら問うこと、それはささやかな反抗だったのかもしれない、とBCは思う。
BC(ビーシー)・・・
彼らは通常BCを「お嬢様」と呼ぶ。でも知っている、影では「BC」と呼ばれていることを。
By Zarchery
