“特殊構造”の我が家を出ると、太陽の日差しが眩しくて、知色は思わず手をかざしていた。庭を通り過ぎ門を出ると相変わらず“いつもの”車が止まっていた。組織の人間だ。知色は彼らをいないものとして、見えないものとして何事も無かったかのように通り過ぎる。“彼らから”随分はなれた所で、歩きながら携帯を握り電話をかける。
「私」
「やぁ、どうした?」エドが答える。
「どうかしないと電話しちゃいけないかしら?」知色がふざけて答える。
「なんだ、ラブラブだね」
「私はご機嫌斜めよ」
「Wow!斜めなの?曲がってるね。僕は直線が好きだな」
「・・・・。話がしたい」
「いいよ。キミがどうしてもって言うなら愛を語り合おうか」
「・・・・なるほど。今、“あそこ”にいるのね」
「うん、ホワイト好き」
「じゃあ、いつもの場所で。時間はどうする?」
「えーブラックはあんまりすきじゃないよ。ホワイトがいい」
「昼間ってこと?」
「僕のサイズは16号。あ、あとコーヒーも宜しく」
「16号?なにそれ?大きすぎでしょう?」知色は笑いながら答えた。
「だって太っちゃったんだもん」
「分かったわ」
「コーヒー忘れないでね」
「コーヒー?」
「そう、マメが切れちゃったんだ」
「だから?」
「うん、コーヒーが飲めない」
「だから?」
「死んじゃう」
「なんで?」
「コーヒーが飲めないから」
「なんで?」
「だから?なんで?その次は?どうして?」エドが笑いながらいう
「分かったわよーっ!買えばいいんでしょう、買えば!」知色が諦めてたように答える。
「Wow!素敵」
「絶対、首絞める!」
「えー、じゃあ弱めでお願い」エドがふざける
「残念、加減を知らないの、私。うふっ」といって知色は冷たく電話を切った。
エドは切れた電話を握り締めながら「愛が薄いねー」と組織の建物内の廊下を歩いていた。
知色は歩きながらひと言、「さぁ、始めましょう」と太陽を見上げた。
そして思い出していた“悪夢”を。いや、あの日の出来事を。
※2009.01.14 一部追加