シネマ#99


 『呪いの館・血を吸う眼』


 監督/山本迪夫 


 出演/藤田みどり●江美早苗●高橋長英●岸田森●桂木美加●高品格●大滝秀治etc 


 1971年●東宝●82分 





 《ドキッ!ホラー映画だらけのハロウィン映画祭》


前回は、現代版吸血鬼モノ『ババンババンバンバンパイア』を鑑賞してイマイチ盛り上がりに欠けたため、嵐のシルバーウィークに自宅の棚をガサゴソガサゴソ♪

昭和の怪談噺の名作DVDを発見し、外は雨風酷い中、呑気に眺める。

湖畔の町に長年暮らす画家志望の女性教師の邸宅に突然、棺が届き、中から吸血鬼が復活。

呪われた許婚と狙われ、襲われる恐怖を描いた和製吸血鬼映画の決定版である。



彼に首筋を噛まれ、血を吸われた人間は、同じく吸血鬼と化し、下僕として、夜な夜なさ迷うのが大きな特徴。

前年、同じ監督/スタッフ陣で、吸血鬼映画
『血を吸う人形』
を製作しており、シリーズ化した今作は、日本映画界における記念すべき初の
《和製ドラキュラ映画》
と謳われ、知る人ぞ知る名作である。

故に、刑事ドラマでベテラン役が様になるいぶし銀・高品格が牙を尖らせて襲撃するファイティングポーズは、斬新な衝撃度が貫く。

また、生贄の美女の1人が、何処かで観たなあと思っていたが、かの金字塔
『帰ってきたウルトラマン』
でMATの丘隊員を演じた桂木美加だったとは、後になり、知って驚いた。




面影が皆無なほど、別人に見えたから、ホラーの世界は奥が深い。

内容自体はオーソドックスで、意外と地味だが、中弛みした世界観を一瞬で身の毛がよだつ震えを以て、唯一無比の絶対零度で引き締めるのが、支配者・吸血鬼を演じた名優・岸田森の圧倒的インパクトを放つ存在感に尽きるだろう。



紳士的なダンディズムで引き寄せながら、神出鬼没で妖しく眼を輝かせ、鋭く尖った牙で獲物の血を狙い静かに微笑み、素早く官能的に襲い掛かる貫禄は、逃れられない色気に満ち溢れた恐怖がほとばしり、圧倒され、息を呑む。

『怪奇大作戦』の牧史郎、
『帰ってきたウルトラマン』の坂田兄etc
特撮ドラマだけでも代表作は数多いが、やっぱし、吸血鬼が圧巻だと改めて実感した。

ニンニクや十字架なんざぁ通用しない無敵ぶりは、まさしく此の世の終わりの番人と呼んでも過言ではない。



其の割には、決闘シーンで呆気なく惨敗して、灰になってしまうのは、何だか情けないけれど。。。

呆気無さも含めて魅力的なのだ。

だが、しかし、他を寄せ付けない狂気と色気を全身で描き切る佇まいは、シリーズ次作の
『血を吸う薔薇』
で最高潮に達し、完結するのである。


では、最後に短歌を一首

『夜睨む さ迷う棺 囲む牙 夢果て飢える 生贄の首』
by全竜

 

 

 

 

 

 

Ameba映画部

 

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