シネマ#61 


 『スパイ・ゲーム』 


 in静岡東宝会館 

(午前10時の映画祭) 


 監督/トニー・スコット 


 出演/ロバート・レッドフォード●ブラッド・ピット●キャサリン・マコーマック●スティーヴン・ディレイン●ラリー・ブリッグマン●シャーロット・ランプリングetc 


 2001年●アメリカ





 休日に久し振りに静岡の街中に出向き、そのまま東宝会館へ。


此処でリアルタイムに観たのは20年以上前に遡り、時の流れを経て、同じ劇場で再び向き合うのは、感慨深い機会と云えよう。

ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットのタッグは、監督作の『リバー・ランズ・スルー・イット』以来だが、俳優同士での共演は初めての作品であり、今回は、スパイの師弟と云う複雑な立場で繰り出す。

CIAエージェントの上司定年退職当日、かつて、自分がスカウトした部下が、中国で諜報活動中に、拘束された一報を知り、見殺しにしようと見切りをつける政府に対し、独りだけ彼の救出交渉に奔走する政治サスペンス。

公開当時、新進気鋭で勢い良かったブラッド・ピット目当てで鑑賞した際は、厄介な国際事情に、置いてけぼりになり、正直、あまり楽しめなかった印象を記憶している。

硬派なミッションインポッシブルかなと気楽なノリだったのも後味の悪さに戸惑う要因と化す。

だが、40超えた令和に改めて観ると、如何にアメリカが世界各国で嫌われているのかを認識でき、興味深かったのは、皮肉な巡り合わせを感じた。

ベトナム、東西ドイツ、レバノン、南米を経て、中国と、あらゆる裏側でアメリカ外交のシクジリの歴史が、そのまま師弟の絆にモロに直撃し、関係性をこじらせてゆくのは、因果応報其のモノであり、更に、オンナが加わる事で、険悪な世界へ突き進んでしまう。

最も可哀想なのは、作戦に無理矢理、担ぎ上げられたベイルートの医師である。

救いの無い犠牲が積み重なりが、絶体絶命の危機に追い込み、闇の檻から己を救うのは、結局、己の舌先。

敵も味方もデマカセで騙し、乗り切る。

そんな開き直りも、今のアメリカの常套手段なのか・・・と平和な日本でしみじみ思う6月の昼下がりなのであった、




では、最後に短歌を一首


『見殺しに 舌潜らせて 籠を噛む こじれ火の雨 囲む穴埋め』
by全竜