シネマ#38 


 『AKIRA 4Kリマスター版』


 in静岡東宝会館 

(午前10時の映画祭)


 原作/脚本/監督/大友克洋 


 声の出演/岩田光央●佐々木望●小山茉美●石田太郎●玄田哲章etc 


 1988年/東宝etc 






 今年の正月に、まさかのNHK・Eテレの
『浦沢直樹の漫勉』の特番枠にて、オンエアされており、仕事中に知り、見逃して悔しかっただけに、改めて観直すチャンスやと思い、劇場へ向かった。

私は、元々、漫画をあまり読まない。

当然、アニメ映画もほとんど通過してこなかった。

ガンダムも、エヴァも、鬼滅も然りで、トータル5分も掠っていない。

キッカケは当時、タイトーがリリースしたファミコンソフトだった。




直ぐにゲームオーバーになり、クソゲーの代表格だったが、世界観に魅力を覚え、本家のアニメ映画に没入した次第である。

登場人物の表情や動き、バイクや戦車etcのマシンのメカニック描写、そして、何より重みの深いストーリー展開に、たちまち圧倒された。。

実写では、ちょうどリドリー・スコットの『ブレードランナー』が話題となったが、あのSFワールドを日本のアニメで表現する大胆な衝撃は、脅威の一言に尽きるフルスイングにオッサンの私は再び叩きのめされる。


30年以上経て、改めて、全編フルに鑑賞すると、私にとってのアニメ映画の核心は、今作であると、実感したのは、云うまでもない。



其の後も、大友克洋作品は惚れ込んで、『スチームボーイ』『ショートピース』etc劇場で、其の都度観てきたが、メルトダウン的圧巻を覚えたのは、今作を超えての出逢いは叶わなかった。


発端の第三次世界大戦は、公開年と重ねて1988年なのに対して、主人公達が大暴れした荒廃と発展の混合する近未来は30年後の2018年なので、舞台が既に遠い過去と化した設定は、令和の今、劇場で皮肉な再会となったのは、東京オリンピックを含めて、何とも複雑な面白味である。

故に、強大な能力を炸裂させるテツオを始め、AKIRA側の異端児達は、様々な威力の象徴として重ね合わせて観てしまう。

例えば、東日本大震災直後の原発であったり、コロナ禍におけるワクチンであったり、etc.etc...。

誕生間もない頃は、未来の威力を誇り、向けられた羨望の眼差しは、やがて、制御不能の逸脱に、恐怖と憎悪と崇拝の標的に祀り上げられてゆく。

人類が自然動物を通り越し、プランクトンに戻るべき時代とは、今なのかと曇天に問う。

まさかとは思うが、今の中東事情が第三次世界大戦の口火と斬ったら、日本を支配する『AKIRA』とは、一体何なのか??

悶々とやりきれない衝動を抱え切れないまま、真っ赤な愛車を滑らす春の帰路なのであった。



では、最後に短歌を

『血の閃光(ひかり) 潜れど浴びす 未来(あす)の火々 疼く爆心(驀進) 革新(核身)と帰す』
by全竜