※ネタバレか否かは読者の自己責任なので、あしからず 


 シネマ#30 


 『ルックバック』


 in NHK総合


 監督/押山清高 


 原作/藤本タツキ


 声の出演/河合優実●吉田美月喜●斉藤陽一郎●岡幸太etc


 2024年/エイベックス●集英社etc 







 採点/86点





先週、休日の夜遅く、風呂上がりに横になって、何気なくNHKを眺めていると、ニュースの延長線上で今作の放映が始まり、其のまま流れで観ているウチに、ジンワリ独りで涙を流してしまった。


今年まともに初めて全編キチンと鑑賞したアニメ映画とは、まさかこんなシチュエーションで、ヒョイっと唐突に遭遇し、何だかなぁ〜と当初は思ったが、こんな素敵な作品に出逢えたのだから、運命とは常に予期せぬドラマである。

学級新聞に連載していた4コマ漫画をキッカケに、お互いの絵に対する才能や情熱を交え、深めてゆく2人の女生徒の友情を綴った物語。

漫画に全力投球を捧げ抜く若者2人組の青春と葛藤の年月は、昭和では『まんが道』『漫画家青春残酷物語』etc、平成では、『バクマン』etcノンフィクション的なドライなのに熱い名作は多いが、今作はとうとう女子小学生がコンビを結成するとは、、、いやはや、令和やなぁ〜〜と大胆な世界観にいきなり驚く。

小学生の学級新聞で切磋琢磨し、やがて、夢の漫画週刊誌デビューへと昇進してゆく成長の破格のスケール、

しかも、自信家で明るくポジティブ人間な藤野と、片や、ずっと引きこもり生活が続き、人間不信に陥るネガティブな京本と、性格が極端なまでに真逆な2人の対照的キャラが純粋過ぎる面白さへと誘う。

根暗な私は、完全に後者側なので、画を描く事で人間らしさを取り戻して笑みが輝く京本の歩む姿が微笑ましくも心配になってしまう自分に気付く。

案の定、ストーリー重視の藤野と、画力に全集中を費やす京本と、才能も明確に異なる為、直ぐに意見が食い違い、衝突が生まれ、さぁ、此れからと云う大事な時に、2人は呆気なくコンビ解消を選択してしまう。

なるほど、こうして、漫画家として生きてゆく現実の辛さを噛み締めながら、未来へ向かいTo-BeContinueと〆括る青春ドラマなんやなと勝手に決めつけていたが、突然、容赦無く断ち斬る現実社会の前振りに過ぎないと宣告されて、オッサンは絶句し、立ち直れなくなった。




あまりにも残酷で、取り残される恐怖と突きつけられる絶望。

有無を言わさぬシャットアウトの闇は、未だに傷を深める惨劇
《京都アニメーション事件》
への画を描く者としての答えを投じたかったのだと静かに思う。


漫画家として受け止めた上で、2人の掛け合った呼吸は何であったのか?
幸せだったのか?
間違いではなかったのか?
挫折を経て、自分の信じる筆と頭ン中のスケッチを用いて、歴史を振り返り、また今日から画を描いてゆく決意に純粋に涙が溢れた。

私は、没頭し、情熱を傾ける事ができるモノに、そして、其れを腹を割って語り尽くす友人に、果たして出逢い、大事にしてきたのだろうか?

やり場の無い問いを、今後の自分と共に、不器用なりに見詰め直していきたいと思う。

ちなみに、是枝裕和監督の基で、実写映画化されるらしい。

とても楽しみであり、貴重な生きる希望の1つである。


では、最後に短歌を一首

『運命(ドラマ)とは 起承転結 架ける(描ける)筆 裸足に景色(いろ)を 駆け廻る(捲る)風』
by全竜