※ネタバレか否かは、読者の自己責任なのであしからず


 シネマ#5 


 『チャップリン』


 in静岡サールナートホール


 監督●出演/カルメン・チャップリン


 製作●出演/マイケル・チャップリン 


 出演/チャールズ・チャップリン/ジョニー・デップ/エミール・クストリッツァ/トニー・ガトリフetc


 2024年●スペイン・オランダ・イギリス・フランス合作







 採点/58点 



 喜劇映画史の源流であり、今も王座に君臨する巨星チャールズ・チャップリンの生涯を孫や息子etcチャップリン一家を中心に、縁の深い人々がそれぞれ振り返り、語ってゆくドキュメンタリー作品。

偉大なる喜劇王とは云え、私が産まれた年には既に鬼籍に入っており、あまり関心は無い。

むしろ、笑いとしては、宿敵バスター・キートンの方が遥かに好きなぐらいだ。

全編キチッと観た映画は、せいぜい『街の灯』と『ライムライト』のみである。

世界近代史を学ぶ了見で、久々に静岡サールナートホールに運んだ次第だが、観終えると、う〜〜む。。。

眠たい授業よりはマシかな。

パンフレットで、黒柳徹子が
「感動しました」
と述べているが、一体何処で涙したのか、教養の無い私には理解し難い。

要は、海外版《知ってるつもり?!》である。

父親としてのチャップリンを語ると云うよりも更に遡って、祖先の民族に拘るスタンスは、
海外版《ファミリーヒストリー》に近いのかもしれない。

途中で、民族学の傾向が濃くなるため、
BSの放送大学の講義を聴き流す感覚になりかけた。

ゆえに、眠たいのである。

やっぱし、ミーハーでヤジ馬な性分の低俗なオッサンが知りたいのは、家族との確執とか愛人問題とか赤狩りを巡っての追放劇etcのスキャンダルネタであって、チャップリン一族ルーツにはロマ人の血が流れている事にこだわって論説されても、昭和のお笑い好きな日本人には、知ったこっちゃない事実だ。




貧困な家庭で育ち、とても苦労したとか、赤狩りの際に美人局の罠に掛かり、酷い目に遭ったなんざぁ、どれも有名なエピソードやから既に知っている。

波乱万丈の道の其の先を知りたかったけど、移民とかの噺はどうでもイイやって正直思った。

何処かの政党やないし、、、とツッコミを入れる私は、やっぱし罰当たりなのだろう。

途中、アクビを噛み殺しているに、ジプシー音楽の賑やかなギターの奏でが、やたら耳に残って仕方が無い。

天才的笑いクリエイターの人生を死後に家族達が振り返る構成は、ドタバタギャグ好きには、ギャグ漫画の巨匠
『マンガをはみだした男 赤塚不二夫』
を思い出し、つい比較したくなってしまう。

お酒とギャグ漫画を愛し、ハチャメチャで成功以上に失敗だらけの人生をアレコレ語るインタビューはとても面白い映画だった。

呆れて笑う愛しさに触れたかったのだが、今作はってぇっと、隠居後、家族間の隔たりに悩む孤独なお爺さんと云う印象が総てであり、其れ以上でも其れ以下でも無い。

人間は、良くも悪くも、興味深くなる面は、其の人の秘めたる狂気めいた部分であり、晒け出してこそ、惹かれてゆく生き物だと思う。

其れを遺された家族に求めるのは、酷な要求かもしれないが、エンタメとして成立するうえで、神様の裏側を知るうえで、覚悟すべき事の一つなのかもしれない。

今は亡き家族を笑顔で懐かしむ世界は、独りぼっちになって久しい私には、ただただ羨ましいだけやないかと一蹴したら、ハイ其れまでの噺である。。

まぁ、それでイイのだと呑気に都合良く片付けて劇場を後にする寒い冬の夜なのであった。

では、最後に短歌を一首

『さすらいの 血をさかのぼり 語る弦 フィルムと旅す 父の背中ぞ』
by全竜