せっかくの休日も、朝から大雨で憂鬱に目覚める。


 気怠い梅雨入りを愛車でかき分けながら、毎月恒例の清水の老舗蕎麦屋 

『ふるさと』

 へ独りランチ会へと向かう。 




 雨脚が強くなる中、暖簾をくぐると、既に客が集い、賑わっており、人気の高さを改めて実感しながら、いつものカウンター席に腰を降ろす。


 雨にもかかわらず、活気に湧く店内の空気の心地良さに浸りながら、大将、仲居さんに挨拶を交わす。 





 そして、敬愛する立川談志師匠の色紙に参拝を済ませたら、 

【6月のふるさとおまかせコース】 

が威勢良く幕開きだ。 


 ノンアルコールビールで、乾いた喉を潤すと、早速、登場したのが、お馴染み、地魚の刺し身がトップバッターを飾る。


 今回は、
『①焼津のアジ』




 脂のノリが抜擢なのは、箸で持った瞬間から力強く伝わり、旨味が色濃く滴りゆく。 




 なるほど、いつも刺し身は盛り合わせが定番なのに対し、ピンでセンターを務める自信を全身で納得した。

続いて、2品目は、
『②ふるさと特製ポテトサラダ』
が登場。




釜揚げ桜海老やトウモロコシなど具沢山な構成が嬉しい。



滑らかな口当たりに、桜海老の芳ばしさやトウモロコシね甘味が存分に溢れ、バラエティ豊かに食欲を煽る。

白飯にも合うオカズとして成立するポテサラとして、存在感が実に眩しい。

3品目は、コースの要・天ぷらへ。

今回は豪勢に2部構成で展開する豪勢な流れに期待が高まる。

『③天ぷら・前編』
は、
《地アユとトウモロコシ》
が華やかに共演。



アユはホロ苦く身が解れて、大人の恋する味覚の世界へ誘う。



トウモロコシは、先程のポテサラでも活躍した大将お気に入りブランド
《斌ちゃん農場》
の逸品を起用した力作。



真ん丸にこしらえたかき揚げから歯切れ良く溢れる甘みの輝かしき激流に大いに驚く。

品書に記された
【メロンを超える甘味】
は、真実であると納得し、暫し唸った。

ビールを呑み干し、ハイボール代わりに自家製ジンジャーエールをマイタンブラーに注いでもらったら、
『④天ぷら』
は、いよいよ後編へ。

注目のネタは、
【タチウオとインゲン】
がニクいコンビネーションでステージを熱く刻む。



地元・由比産タチウオのホクホクと崩れゆく旨味に体自身が溶けそうな錯覚に陥り、インゲンのみずみずしさに言葉を失う。



自然の恵みのありがたさをジックリ味わいながら、おまかせコースは、後半戦へと畳み掛けてゆくのである。




つづく