《笑いの歴史学》
『ミスター・ブー』
監督/マイケル・ホイ
出演/マイケル・ホイ●サミュエル・ホイ●リッキー・ホイetc
吹替版/広川太一郎●ツービート(ビートたけし&ビートきよし)●及川ヒロオetc
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1976年・香港
休日は笑える映画が観たい。
そんな性分で自宅の棚を相変わらずゴソゴソと引っ掻き回す。
喜劇で邦画代表が寅さんならば、ライバルのアジア枠からは、香港代表でってんで、選出したのが此方。
ホイ兄弟が繰り広げるベタなまでに王道のドタバタコメディアクション。
世知辛い香港界隈でどんな仕事も引き受けるドケチ探偵社だが、万引きGメンとか浮気調査とかチンケなヤマばっかしで引きずり廻される日々。。。
云うなれば香港版《傷だらけの天使》と例えれば、少しは格好良いハズだが、あいにくドジばっかしで、哀愁のなんざぁヒトカケラも無い。
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結局、行き着く先は、《加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ》の探偵物語になっちまう始末やから、最後までくだらなくて笑ってしまった。
ケチで威張り倒し、コキ使う所長に若い部下が、やり返す関係性は、ドリフのコントそのもので懐かしい。
でも、DVDの吹替版では、懐かしの《ゴールデン洋画劇場》で当時、漫才ブームで頭角を現したツービートがキャスティングされているのは、皮肉なめぐり合わせと云えよう。
殿も相棒も不器用な声がぎこちないが、ヤンチャな若さが垣間見えるのが味わい深い。
そこへあの広川太一郎のアドリブが畳み掛け、七転八倒の笑いが転がりまくる。
中盤のカーチェイスと、其の顛末は、代表的シーンだ。
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香港と云う国際的な土壌を活かして様々な作品のパロディが散りばめられているが、土台はキチンとカンフーアクションが骨太く組み込まれているのは、香港映画らしくて安心して観られる。
ちなみに、差別ネタやヤクザなど毒っ気満載で、ブラックなテイストも香港映画らしいし、昭和のお笑い番組らしさにも繋がってゆく。
子供の頃以来、何十年振りに見返しても、面白さが色褪せていなかったのは、令和のお笑いには物足りない色合いを感じているからかもしれない。
そんなオッサンの夜中の独り言なのであった。
では、最後に短歌を一首
『いつの世も 恋もシノギも 折半で ド突きド突かれ またド突かれちゃって』
by全竜