『春の静岡限定ラーメン紀行』

 今回は、遂に、完結編である。 

 大トリに相応しい大御所こそ、やっぱし、静岡ラーメンの絶対王者 

『麺や厨(くりや)』

 に尽きるだろう。 



 ちょうど2週続けて連休が貰えた際、木曜日が幸運にも重なり、1日限定二毛作イベント 

《麺屋BOSS》 

へ訪問する事ができて、素直に嬉しい。

 注目の本日限定ラーメンは、第一週目は、 

『鯛と蛤の塩そば¥1000』 

だった。 

 せっかくなので麺大盛¥100にスケールアップさせ、ガッツリ実食。 

 近年、様々な貝類から出汁を抽出し、スープに活用する《シェル系ラーメン》が台頭しており、流行を敏感にキャッチし、取り入れる貪欲な姿勢が垣間見える一杯は、研ぎ澄まされた水面が眩しい。 

 大ぶりのハマグリを具にもスープにも抜擢し、同じく海鮮の星・鯛とコンビネーションを組み合わせる効果で、贅沢なる海のロマンが上品かつダイナミックに押し寄せ、旨味の波に本能は呑み込まれ、溺れてしまう。

 箸で懸命にかき分けて、一方のサイドメニューへ飛び移る。 

 此方も1日限定メシで登場した貴重な相棒は、意外や意外、 

『ガパオ丼¥380』 

だったので、実に興味深いタッグチームと云えよう。 

 スパイスが本格的に浸透し、挽肉の刺激的な染み具合がエネルギッシュに食欲を煽ってゆく。 

 徹底した和の最前線に突き進むラーメンと、アジアの誇るエスニックな飯とのアシストが織り成す奇抜な空中殺法は、アンバランスに想わせ、絶妙に組み合い、翻弄させてヤミツキと化すから、不思議な掛け算に、お見事、降参である。 

 そして、待望の第2週へ。って云うか、昨日リリースされた限定ラーメンが、 

『煮干し角煮ラーメン(味玉トッピング)¥1150』であった。 

 上品な貝ダシから一転、超濃厚なる煮干し系で突き進み、仰天させるギャップこそ、チャンピオンならではの懐の深さが爆発した瞬間と云えよう。 

 ディープなまでに濃密に煮詰めた煮干しのエキスは究極にエグく、クセが強い。 

 強烈な風味のクラッシュは、好き嫌いハッキリ別れるショック度であり、甘辛く煮込まれ、漂う巨大な角煮がリリーフの核と化し、固まる貫禄が頼もしく感じた。 

 また、卓上の辛子味噌でスープに溶き、和えていく事で、魚臭さを緩和でき、食べやすくなった。

 食す者に工夫を課す厄介さが、好きな人には堪らない原動力になるのであろう。

 破壊力満点の食べ応えに暫し笑ってしまう4月の昼下りなのであった。 

 では、最後に短歌を一首 

 『春薫る 神(噛み)のソバより 海深く 回(貝)を重ねし 浸かる箸かな』

 by全竜 

 ご講読ありがとう御座いました。 

 終

好きなラーメンは〇〇味

 

 

 

 

 

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