《3月の独りふるさと会》

ハイボールをお代わりし、ほろ酔い気分に浸りながら、おまかせコースの後半戦へと望む。

エゴダイの焼き直しと入れ替わる形で、グツグツと威勢良く折返し地点を飾りしは、
『⑤原木しいたけのアヒージョ』


先程の天ぷらで舌鼓を打った原木しいたけを今度はオイル煮で再登板とは、イヤハヤ大活躍である。


大将自ら、シイタケのクオリティを絶賛しており、バケットに乗っけた際のズシリと君臨する貫禄からして、確固たる自信と実績を高々に証明していると云えよう。


6品目は、いよいよメインディッシュ

今回は
『⑥豚の味噌漬焼き』


御一人用の銅板に、豚肉とネギを乗っけてゆく独り焼肉スタイルのメニュー。

前回は、鴨ネギバージョンで嗜んだので、こう云う手法は慣れたモンだと、手際良く並べてジュ~ジュ~育ててゆく。


焼き具合を待つ間に、先程の
『⑦エゴダイの姿焼き』
が完成したので、先に頂く。


良いタイミングだ。

と、御機嫌に身を突っつけば、柔らかく白身が解れ、舌へと溶け込む。

ミディアムレアからウェルダンへと、実にエンターテイメントな味わい方である。

仲居さん達とも笑いながら、ハイボールを嗜むと、イイ頃合いで、豚肉が焼き上がった。


味噌で下味が付いており、其のままダイレクトに熱々のまま、口へと放れば、キャッチするや否や、灼熱の肉汁がジュ~シ〜に放射され、心地好い悶絶に暫し、本能は七転八倒する。



ネギの甘味も同様に罪深いショックをもたらす。


そして、とうとう〆。

春のフィナーレは、何ジャらホイ??と御陽気に待っていると、白い麺がセイロに乗って、接近してきた。

ふるさとで、更科の蕎麦は珍しいなぁと思って、待ち受けると、
『⑧冷やしそうめん』
だったので、ビックシ仰天してしまう。


さすが、大将、季節を先取りするリード感が今春も冴え渡っていますなぁ。

此の界隈で、今年初の冷やそう麺を早くも喰らったの私だけだろう。


そうめんならではの俊敏な喉越しが、長閑に駆け巡った。

春のそうめんってぇのも、風流な味わいと云えよう♪

最後は、焙煎珈琲と共に、
『⑨御手製バスクチーズケーキ』
で甘く〆ゆく。


滑らかな口溶けが、珈琲の温もりと合わさり、スッカリと癒やされる。


春は鬱になりやすい季節だが、おかげで綺麗にリセットできた。

御馳走様でした。

今年も乗り切れそうだと感謝しながら、暖簾をくぐり、店をあとにする春の昼下りなのであった。


では、最後に短歌を一首

『春の空 のらりくらりと 真昼酒 仰ぐ白糸 酔いぞ急かして』
by全竜