『春の肉メシ大会(ダイカイ)』
牛肉編の大トリは、やっぱし、焼肉に尽きるだろう。
ならば、と思い、訪ねたのが、繁華街・紺屋町に軒を構えし
『焼肉とら五』
焼肉の老舗・京昌園からリニューアルしたばかりの新星である。
店のスタートダッシュを飾るべく、多種多彩なランチメニューが目白押しで、躊躇してしまうが、看板の、
『選べる焼肉定食¥1699』
が人気が高い。
グループAとBからそれぞれ2種選択でき、
ご飯、スープ、小鉢、サラダが付いて此の破格設定はビックシ(ドリンクは別料金)の破格値と云えよう。
脳内の激しい食欲予選の果てに、
Aグループからは
上ハラミ&中落ちカルビを、
Bグループからは豚トロ&牛とろホルモンを、
それぞれ選出した。
まるで、ワールドカップの出場選抜に向き合う心持は、何だかワクワクさせて、楽しい。
待ち焦がれていると、いざ、お目見えするや、更に集う肉達の共演が目映く惚れ惚れする。
先ずは、Bグループ代表から、皿から焼き網へと熱い舞台を移し、実力をジュ~ジュ~吟味してみたい。
大好きなホルモンで開幕を祝い、ジュ~ブンに焼き目を付けて、とことん味わう。
甘い口溶けがジックリ濃厚に拡がり、嬉しいタメ息が無意識に溢れた。
次に、豚トロを手掛ける。
柔らかい食感を保ちつつ、程良い歯応えが弾み、肉汁が響き合う。
此方も豊潤なる甘美が胃袋を潤す。
焼肉とは、極上スイーツなのだと、改めて悟った。
添えられたキムチを乗っけて食すと、白飯と相性バツグンに合う。
焼肉とは、やはり、主菜の絶対エースなのだと、噛み締めて、実感した。
そして、いよいよ花形のAグループへ。
牛肉の実力者・上ハラミと対峙する。
噛みごたえジュ~ブンな躍動感が舌に渡来し、白飯が更に躍進してゆく。
遂に、主役のA5ランク・中落ちカルビへトングを伸ばしてみよう。
焼肉ダレではなく、レモン汁で嗜むと、カルビ本来の醍醐味が爽やか引き立ち、五感が平伏す。
充実感極まり無く、アッと云う間に、完食に至った。
食べ終えたあと、焼肉は御馳走の最高峰なのだと、つくづく思う春の昼下りなのであった。
では、最後に短歌を一首
『春に立ち 暖を取る昼 上ハラミ 乗る幸せの 陽(火)射し眩しく』
by全竜