今年からケーブルテレビだけでなくBS放送が自宅で鑑賞可能となり、好きな番組が増えて、夜勤明けや休日は寝転がりながらゴロゴロと耽って久しい。

特にお気に入り番組の1つが、BSーTBSで放送中の『町中華で飲ろうぜ』だ。

観ているウチに私もタマちゃん師匠の様に実践したくなった。

単純な脳内構造やなと自分でも呆れるが、飲りたくなった衝動に駆られて仕方ないのだから、しょうがないではないか。

ってなワケで、夜のウォーキングも兼ねて、由比の自宅からトボトボと隣町の蒲原まで歩き、辿り着いたのが、駅前の路地裏に軒を構えし、知る人ぞ知る聖地
『三芳食堂』


暖簾をくぐると、テーブルが3つほど並ぶ小ぢんまりした空間が心地良く、腰掛ければ目に止まるサイン色紙の多さに驚き、懐かしきオカモチの可愛らしさにときめく。


ウォーキングで乾いた喉を潤すのは、モチのロンで瓶ビール¥800以外考えられない。

633はタマちゃん先生直伝から教えられた呑兵衛の義務教育である。

お通しは、町中華の定番
『ピリ辛メンマ』


シャキシャキ歯応えに黒胡椒とネギの爽やかな痺れが、本能に貫通し、ビールが進む

ジョッキでもグラスでもなく、ちっちゃなコップってぇのが、何とも愛嬌満点で、手酌も愉快だ。

トップランナーは、やっぱし、町中華の王道
『ギョウザ¥500』
でグイッと快走を飾りゆく。


小型で一口サイズなのは、ローカル餃子の王者・浜松餃子とは一線を画す貫禄が眩しい。

ジュニアヘビーの技か光るがゆえ、餡の旨味が熱く凝縮して、唸らせる。

なるほど、いぶし銀のテクニシャン、旨味の伝道師と云えよう。

瓶が半分ほど空き、品書を覗く。

折返し地点は、同じく王道のニラレバ炒めに行こうかと思ったが、其の頭1つ上に書かれた
『モツニラ炒め¥900』
がとても気になり、オーダー決定。


塩胡椒で炒めた全体像は、モツはモチロン、キクラゲ、野菜etcetc具だくさん で、ニラレバとは別世界が皿の上に拡がり、鮮やかな眺めが食欲を誘う。


モツは臭味が一切無く、弾む肉質のリズムに野菜のみずみずしい旨味が映える。

アッサリ仕立てながらも力強いクオリティに魅せられ、ビールを見事に呑み干す。

いよいよ最後は、寒い夜にはホットな熱量を欲し、名物
『ジャンジャンメン¥700』
と、相棒は、チャーハン星人として外せない
『チャーハン¥700』
を組み合わせ、ガッツリと〆ゆく。


ジャンジャンメンは、其の名の通り、豆板醤を主体とした秘伝のスパイスで真っ赤っ赤に施し、其のビジュアル通り、辛い。


とことん辛い。

立派に辛い。

でも、同時に、立派に美味い。

野菜のボリュームが辛味を中和する効果も大きい。

革新的バランスを成す1杯と云えよう。

一方、相棒のチャーハンは、オーソドックスな少しシットリ系の正統派を組む味わい。


キャベツが具材に入っていたのは、意外だったけど、味付けそのものは、ソフトで優しい完成度。

本格的中華と云うよりも、家庭的な出来栄えに安堵を覚える。

革新と保守の対峙とは、世の中の縮図をまさか、町中華で実感するとは、皮肉な酔いに浸った。

御馳走様でした。

酔い醒ましに自宅まで暫しウォーキングに励む3月の宵なのであった。

では、最後に短歌を一首

『路地裏の 奥ぞくぐりし 町中華 ググれど真っ赤に ジャンジャンな春』
by全竜