せっかくの休日だが、朝から寒々と雨が滴る。
しかし、家でゴロゴロ塞ぎ込んでいる暇は無い。
SNSで、日頃、贔屓としている清水の老舗蕎麦屋
『ふるさと』
にて、大規模な
《チャリティランチ》
が開催されるニュースをキャッチしたからだ。
大急ぎで布団から飛び出し、アクセルをベタ踏みして、現場に急行する。
開店30分前には到着するが、長年、人気を帯びている有名企画ゆえ、既に多くのファンが駆けつけ賑わっていた。
何とか6、7番手に予約を確保成功。
ホッと安堵して番を待つ。
玄関前には、屋台が設立しており、時間を利用し、メニューをゲット。
温もりを抱え、いよいよオープン。
いつもノンビリ座るカウンター席に急いで滑り込む。
大将の呼びかけで、静岡・清水の人気店が大結集した記念すべき日は、飲食店のオールスター大会、云うならば、静岡グルメ・アベンジャーズとも評したい華々しい一時に、もはや、大雨なんざぁ、関係無いのだ。
早速、ノンアルコールビールを注ぎ、3月は早めの談志師匠へ乾杯を挙げ、
《3月のふるさと独りランチ会》
の特別編コースの幕開きと相成る。
先ずは、軒先の屋台で購入した料理を冷めないウチに味わおう。
トップは、人気タコ焼き店
『あじたま』
の焼きたての
『タコ焼き¥500』
をハフハフ摘む。


かつて大将のSNSで度々紹介されていたので、とても気になっていただけに、待望の対面は嬉しい。
トロッとトロける生地のクリーミーな口溶けは、絶品の一言に尽きる。
マヨネーズ&ソースとのバランスが神々しく絡み合う。
続いて、同じく屋台枠より、キッチンカー
『キッチンルポ』
より
『骨付きチキンレッグコンフィ¥600』
を豪快に骨ごとカブりつく。


滴る肉汁を浴びながら、噛みしめる肉質の食感に、感動を覚えた。
待ち時間が雨で寒かっただけに、なおさら旨味に涙する。
ビールをお代わりすると、本拠地
『ふるさと』
から代表選出されたブランド牡蠣枠へ突入。
宮城の特撰ブランド・七恵牡蠣を贅沢に
『天ぷら¥300』
で嗜む。


大胆に殻付きでお出ましした華麗なるフォルムから繰り出す磯の魅力が濃厚に凝縮され、遺憾なく胃袋に弾け飛ぶ。
ミルキーな熱射砲にただただ無言でひれ伏す。
ビールを呑み干し、いよいよメインディッシュへ。
静岡市内で一二を争う実力派が集い手掛けるスペシャルな1杯が毎回、注目されており、今回は、
『ここん』と『厨』が参戦。
どちらも、常日頃、通い詰めているファンなので、心のトキメキは止まらない。
味噌ラーメンもとても気になって仕方なかったが、散々、悩んだ挙げ句
『高級真鯛出汁の極上塩ラーメン¥1200』
を選択。
せっかくなので、名相棒
『ミニローストビーフ丼¥500』
をセットに組み、存分に向かい合う。
大量の真鯛の中骨&アラから抽出された黄金の出汁に4種類の乾き物と塩を注ぎ込み、融合した屈指の傑作塩スープは、澄み切った水面に研ぎ澄まされた各々の個性的養分が眩しく浸出。
シャープな喉越しに、鯛が本能の中を堂々と泳ぎ回り、罪深く通り過ぎてゆくのが、堪らなくニクい。
タッグパートナー・ローストビーフ丼も、『厨』でお馴染みの名品だが、今回は、ブランド黒毛和牛《静岡そだち》を起用しており、一段と肉の魅力が開花し、食欲の春に咲き乱れた。


凄まじいコンビネーションに圧倒され、アッと、云う間に完食してしまう己に気付く。
最後は、デザート枠から
『王道カスタードプリン¥280』
をチョイスし、甘〜く〆括る。


濃厚なるクリームの洪水が押し寄せては、脳髄をもて遊ぶ。


最初から最後まで、実に楽しく翻弄された素敵な一時だった。
御馳走様でした。
私の無駄な食欲が、恵まれない子供達のお役に立てたら本望である。
と、喰い意地の悪さを笑顔で誤魔化し、店をあとにする春の昼下りなのであった。
では、最後に短歌を一首
『雨くぐり 手繰る鯛そば 塩の華 春分に舞い 晴天を祈す』
by全竜