漸くゆっくり浸る正月休みの本丸は、何と云っても清水の老舗蕎麦屋
『ふるさと』
への独りランチ会である。
毎年恒例なのだが、今年初めての訪問でありなおかつ、落語の神様・立川談志師匠の直筆サイン色紙が飾られているので、初詣も兼ねており、いつものカウンターにて、粛々と参拝した。
其の後、着席し、大将、板長、仲居さんにそれぞれ新年の挨拶を済ませ、お年玉代わりに、おみくじ入りストラップを手渡すのも、恒例イベントと化して久しい。
ノンアルコールビールで、乾杯して、喉を潤したら、2024年最初のふるさとお任せコースの幕開きと相成る。
トップバッターは、今年も御馴染み
『①地魚刺身盛』
が頼もしく務めた。
大将イチ推しのサワラを始め、沼津のアジ、焼津のタチウオ、スズキ、マダイ、トドメにアンキモが添えられ、今年初訪問を祝って、いつも以上に豪勢な集合が眩しい。
特に、サワラはメンバーの中で、一段と脂が乗りまくっており、推薦した大将の自信に笑顔で頷く。
改めて、非常に良いスタートダッシュだ。
続いて登場したのは、寒い寒い冬にお似合いの一品
『②特製茶碗蒸し』
プルプルの表面をほじくり出すと、海老、牡蠣、タチウオとリッチな海鮮陣が、ゴロゴロ発掘され、まさに、グルメのお宝トレジャーと云えよう。
ノンアルコールとは云え、ビールを継ぐピッチが上がると、3品目からは、板長の真骨頂・揚げもんゾーンへ。
先ずは、丸々、豪快に仕上げた
『③ワカサギの唐揚げ』
が、熱々の勢いで斬り込む。
ワイルドに頭っから丸かじりすると、ホクホク崩れる身の甘味から、醸すホロ苦さが、大人好みの唐揚げの世界へ粋に誘う。
ビールを呑み干し、マイ・タンブラーグラスにハイボール代わりに、自家製ジンジャーエールを注いでもらうと、4品目は揚げもんの真打
『④天ぷら盛り合わせ』
の御出ましだ。
今回は、新年を祝い、2部制で提供すると告知され、ツバを呑んで待つ。
先陣を斬って、現れたのは、
《能島のブロッコリーと白子の天ぷら》
だったので、大いに驚く。
白子は、スズキとタラの2種類で提供する布陣は、イヤハヤ畏れ多い。
トロ〜リと舌に溶けゆく灼熱のコク地獄は、修羅場を乗り越えると、直ぐに極上の旨味天国を全身に伝え、スピード感満点に駆け巡る。
瞬殺の極味と称しても過言ではない。
とは云えども、ヤケド寸前の口内をジンジャーエールで鎮めていると、後編が早速、出来上がる。
注目の
『⑤天ぷら盛パート2』
タチウオ、原木シイタケ、ミニトマトがクリーンナップを務めた。
どちらも大型サイズの破格なスケールを成すトリオは、W看板のタチウオとシイタケの厚みに唸ったが、隠れた四番バッターは、大将推薦のフルーツトマトであり、驚きの甘美に、すかさず、大将にインタビューを敢行。
大将の自宅の直ぐ傍の農家が設置した無人販売所の野菜は、総てにおいて、クオリティが高く、朝から行列が出来るほどだと云う。
特に、トマトは群を抜いたポテンシャルを誇っており、天ぷらに抜擢した逸材である実力を、弾ける熱き果汁の純粋な浸透力が証明している。
ちなみに、大将は、味噌汁の具にトマトを活用していると知り、ビックシ。
でも、トマトの味噌汁ってぇのも、オツな1杯なのかもしれない。
感心しながら、ジンジャーエールをお代わりすると、おまかせコースは、後半戦へと突き進むのである。
続く