《午後11時の映画祭》
復刻編
『バーバレラ』
監督/ロジェ・ヴァディム
出演/ジェーン・フォンダ●ジョン・フィリップ・ロー●ミロ・オーシャ●デビッド・ヘミングス●マルセル・マルソーetc.
1968年 フランス・イタリア
何処かの惑星で消息を絶った天才科学者デュラン・デュランを探し、地球に連れ戻すようミッションを受けた美貌の宇宙探検家バーバレラが、ダークの女王が支配する独裁帝国で奮闘する冒険活劇。
主演は後に、演技派としても絶賛された美人女優ジェーン・フォンダ。
輝く金髪、蒼く澄んだ瞳、分厚い唇、引き締まったスレンダーボディ、そして、透き通った美白の肌。
総てが芸術的な色気を惜しげもなくさらけ出し、大人の絵本の世界へ生唾駄々漏れで導きゆく。
そんな挑発精神溢れる危険な誘惑は、オープニングの無重力ストリップシーンから既に刺激的なフェロモンを爆発させ、一気に惹き付ける。
円盤の中でフワフワ舞いながら、1枚1枚、宇宙服を脱いていく美しさは、未来の天女と称し、崇拝せざるを得ない。
遂に全裸となり、冒頭から勃起するものの、スタッフロールのアルファベットが肝心な乳首や陰毛付近を漂い、隠してしまっているのが、実にもどかしく、罪深い演出である。
ヨーロッパのコミックが原作だけあって、場面ごとにお色直しするファッショナブルなコスチュームや、惑星のセットetc. のデザインはチープで、御世辞にも格好良いとは云えない。
しかし、原色を全面に取り込み、身体のラインを大胆に表現したコスチューム&独特の視点から成立する舞台装置、色彩は常に前衛的で、半世紀以上経た今観ても全く飽きない。
特に、映画の要である音楽は、当時、流行していたサイケデリックなサウンドを重用しており、独自の娯楽を追究しているスタッフの意気込みが溢れて、拍手を贈りたくなるのである。
三谷幸喜最大の失敗作『ギャラクシー街道』でも、男女が掌を合わせて昇天する未来のセックスシーンが登場し、氷河期的寒さを味わったが、そのギャグの元ネタは間違いなく『バーバレラ』であり、革命家とのやり取りはシュールな笑いが冴え渡り、よっぽど面白い。
クールな女戦士である一方、七変化するオシャレなファッション、セクシーなアクション、ちょっと天然を覗かし男を骨抜きにする小悪魔な愛嬌etc. 天性のキャラクターは、峰不二子やキューティーハニー、夢アオイetc. の後の日本アニメの新しいヒロイン像創りに多大な影響を与えた。
中でも、バーバレラを次々と襲う容赦ない拷問の数々は、美女=お仕置きを好む永井豪のエロティック路線のルーツを感じて、S側の人間には興味深い酒池肉林描写である。
クライマックスで、最大の敵・ヘンタイ博士が彼女をグイグイ責め込むピアノ型拷問マシンに、大胆不敵な快楽ムードが最も集約されていて、オープニングのストリップと双璧を成す興奮度をもたらす。
マシンは結局、漏電の果てに炎上して失敗してしまう。
マシン内部は大量の触手がクネクネうごめき、彼女の裸体を玩び、2穴責めなど駆使したのか?
故障の原因は、彼女が内部で噴射した潮吹きではあるまいか?
etc. etc. 妄想を膨らませながら凝視する自分は博士以上にヘンタイやなとつくづく思う。
キュートな美幌で勇敢に戦い続ける姿勢は、名門フォンダ一家の運命を背負い華やかな映画キャリアを積む傍らで、後に思想家としてベトナム反戦や女性の地位向上を叫び、社会と対峙したジェーン・フォンダ自身の人生の片鱗が見え隠れしていたのも興味深い。
一時期、ドリュー・バリモア製作、ロバート・ロドリゲス監督、ケイト・ベッキンセール主演でリメイクするニュースが挙がり、注目されたが、いつの間にか頓挫してしまった。
ヘンタイ映キチとしては、『超能力学園Z』と並び、一早い復活を望む名作である。
では最後に短歌を一首
『無垢を舞ふ 銀河の天女 罠に翔ぶ かざす快感 愛の狩人』
by全竜
そして、恒例のスッポンポンデータを
《全編》
98分
《お楽しみ時間/セクシーコスチュームetc.も含む》
約12分
《お楽しみ時間所有率》
12.2%
《乳首の披露》
あり
《陰毛の披露》
なし
《プロポーション》
★★★★★
《芸術度》
★★★★★
《物語性》
★★★☆☆
《エンターテイメント性》
★★★★★
《興奮度》
★★★★★
《オススメ度》
★★★★★
合計★28