※去年の今日、鑑賞
ネタバレか否かは、読者の自己責任なので、あしからず
『1917・命をかけた伝令』
in静岡東宝会館
監督/サム・メンデス
出演/ジョージ・マッケイ●ディーン=チャールズ・チャップマン●マーク・ストロング●アンドリュー・スコット●リチャード・マッデン●コリン・ファース●ベネディクト・カンバーバッチetc.
採点/80点
第一次世界大戦の真っ只中の1917年。
遥か彼方の最前線に出向き、明朝までに、戦闘作戦の中止の命令を伝達する重要な任務を受けた二人の若き英国兵士が、戦地を必死に駆け巡る必死の旅路を描いた物語。
全編、奇跡のワンカット撮影と大々的に報じた割に、
「正確には長回しをブツ斬りにこしらえたワンカット風やん」
って、様々な媒体で冷めたツッコミを多数見掛けたが、純粋に迫力溢れる地獄絵図を目の当たりし、時を忘れ、息を呑み、観入った。
突然、打ちのめされる敵軍の罠の応酬は、ワンカット云々は置いといて、どの様にカメラを設置し、計算した末の撮影なのだろうか?強く興味を覚えた。
特に、爆風で崩れゆく地下壕からの脱出や、墜落して突っ込んでくる戦闘機からの回避etc. etc. 挙げたらキリが無く、先の読めない緊迫感は長回しを唱った緊張感だからこそ、成せる業と云えよう。
平和の祈りとか国の威信や部隊の死闘etc.
従来の戦争映画が叫ぶメッセージは、敢えて放棄し、あくまで延々と走り続ける二人の視点に添った俯瞰の図は、国家ではなく個人の物語であると、突き離された感覚に襲われてしまった。
突き詰めると、不謹慎だが、戦争映画と云うよりも、戦争アクションゲームをプレイしている気分に近い。
昭和オタクで例えるならば、爆風を必死に掻い潜る『戦場の狼』や『フロントライン』『メタルギア』etc. のファミコンソフトを懐かしむ感じだ。
ゲームでは、何処か牧歌的な雰囲気が味わい深く、今作でも、牧場跡地で牛乳を呑んだり、お互いにジョークを言い合い笑う場面etc. 束の間の長閑な一時が印象に残ったが、そんな平和な世界は、直ぐに巻き込んでくる地獄への序章に過ぎない。
其れが戦争と云う現実なのだと。。。
黙々と噛み締める実感は、今が平和だからこそなのだと、日本人としてしみじみ思う2月の寒い午後なのであった。
では、最後に短歌を一首
『血の嵐 潜り密命 噛む炎 背負いし独り 修羅の果てまで』
by全竜
