1週間くらい14文字のやりとりを繰り返すと、メイの方から、『コンバンデンワデハナサナイ?』と2人の仲が進展している合図が贈られた。

ポケベルで自宅の電話番号を送るとすぐに電話が鳴った。あの時、僕はどんな感情でどんなテンションで電話を受けのだろう?

全然覚えていないけど、きっと緊張を隠すためにテンション低くダルそうに電話に出たに違いない。

電話のテンションの低さも同窓会の金髪も、全てのスペックが並程度の僕が高校生活を楽しく過ごすための処方術だった。

長男に生まれた僕は弟と妹に対して立派な兄であるように家では振る舞った。

家から一歩出ると普通の高校生なのだが、随所で立派な兄でありたい自分が顔を出す。


スカした僕とは対照に彼女は明るく、電話の向こうでよく笑った。初めは虚勢を張ってクールなフリをしていた僕だったがメイのペースに釣られて、直ぐに立派な兄ではなくなった。


それから毎日、メイとの電話は続いた。

お互いのことを知るために色々な話をした。


実は共通の友達がいたこと。

カラオケでは華原朋美をよく歌うこと。

新築の家に住んでいて、ダンボールみたいな形をしていて気に入っていること。

家の近くの寿司屋でバイトしていて、大将の中学生の息子に好意を持たれていること。

好みのタイプは黒夢の清春だと言っていた。

そして、父親は母の再婚相手で、馴染めないと悩んでいた。