
私はいま100万円出してどこでもドアを買う 派!
1,「フレンチ警視、最初の事件」
2,「フレンチ警部と毒蛇の謎」
F.W.クロフツ著
またまたこの二つに共通している部分から。
語り手が犯罪者(物語の主な事件と関わりがなくても)なところ。
登場人物はそれなりに多いけど読みにくくはない。
殺人事件が起こるまでに話の半分ぐらい読まされる。
捜査のためなら多少の犯罪はする(不法侵入タイプ)
最後はハッピーエンド、若干経巻めいた言い方。
ポアロが軽蔑している「手がかりの集め方」をする。
手がかりの集め方は、芝生を掘り返してとか、
木くずの山をかき分けてとかそんな感じです。
ポアロは大部分が想像で後から裏付けていく感じですよね。
そっちのほうが慣れ親しんだ感じがあるので新鮮。
話の展開はゆっくりなようですが、
最初にしっかりと組み立てられているので
後半に向けての盛り上がりがばたばたってきます。
特に最初の事件のほうは始めに明かされた手がかりだけで
(若干無理もありますが)解決されるので!
あとから調べきれなかった証拠がバラバラ出てくるのは
読み手に不利だろ!って思っちゃうから(笑)
1,ダルシー・ヒースと恋人の関係にあったロスコ―は、
あるときお金をだまし取ったことを知られた人物に脅しをかけられ、
証拠品と引き換えに大金を渡すことになる。
早急に必要だったが稼ぎで賄える額ではなく、
二人が勤めていた医院の患者から余分に手術費をだまし取り、
差額を自分たちのものにして返済した。
恋人に言われるがまま従ったダルシーはその後も詐欺を続け、
ロスコ―は田舎の地主の秘書として雇われ責任を逃れる。
しかしそこでは雇い主が殺される事件が起こり、
ロスコ―に疑惑をかけてダルシーは弁護士に依頼を頼む。
最後の最後、ロスコ―は詐欺を働いていたが根はいいやつで、
人殺しまではしなかったという完全なハッピーエンドでした。
事件の終止符が打たれたかと思ったら、そこから展開があり
そのどんでん返しがとても面白かったです。
そんなに意外性はなかったし、これでいいのか?
と思うシーンはちらほらありましたが、
なんでだろう、本当にあんり気にならない。
細かいところがちゃんと気配りしてあるなって思います。
ぶっちゃけると、やっぱり訳の仕方がいいのかな。
原作が外国語だと、どうしても訳しにくいんだろうけど。
今回はとても読みやすかったです。わかりやすかった!
2,ジョージは病気でなくなった叔母の遺産を目当てに
浮気相手のナンシーに莫大な金をつぎ込む。
しかし実際には事務弁護士のキャッパーが
すべて投資につぎ込んでしまっていて、
ジョージの手元には一円たりとも入ってこないことに。
そのときにキャッパーがもちかけてきたのは、
彼の叔父を殺害し、遺産を半分に分けようというものだった。
共犯者からの語りというのが新鮮でした。
犯罪の片棒を担いでいるはずなのに真相はわからない…
相変わらず川底をさらったり、地道な作業がお好きなフレンチ警部(笑)
色々と運がいいとしかいいようがない事柄も何点かありましたが
それでも許せちゃうのはなんでだろう。
ただ殺害に使われた凶器の仕掛けはいまだによくわからない(笑)
とりあえず一般市民があれを作るのは無理っぽそうですね(笑)
良心の呵責に耐えられなくなったジョージが描かれる場面で
キリスト教(?)の考え方が深くあらわされてました。
最初に比べたらあからさまなハッピーエンドではありませんが、
それでもめでたしめでたしという感じで締めくくられています。
クロフツ自身が信者だったようで?
作家の個性が出てくるっていいですよね(*‘ω‘ *)