私は2015年からNIOX VEROを愛媛県の耳鼻科で最初に導入し、誰よりも検査を行い、知見を集め、その有用性を確認し、長引く咳の診断に役立たせてきました
当院に来られている咳喘息あるいは気管支喘息の患者さんはご存じのことと思います
(咳喘息は悪化すると気管支喘息に移行します。簡略化するため咳喘息も気管支喘息も喘息と表記します)
耳鼻科は咽頭や喉頭のスペシャリストですから「咳」ということに関しては得意なはずです
しかし、このNIOX VEROが世に登場するまで私は多くの喘息の患者さんの診断を自信をもって下せませんでした
実は長引く咳の患者さんで最も多いのは喘息なのですが、多くの喘息の患者さんが風邪として風邪薬や咳止めを処方され治らないまま悪化していることが多いのです
なんと「咳喘息+喘息+アトピー咳嗽+COPD」を合わせると約80%
呼吸器科の領域が80%
このグラフを見たら愕然とします
今日、あなたが咳が止まらないと言って病院を受診し、「風邪」といわれたものがそうでない可能性があるのです
しかも咳喘息や喘息では咳止めは効かない
おそらく耳鼻科医の多くが「咳がでます=咳止め処方」としてしまい、患者さんに治らないと言われてきていることでしょう
ぞっとします
耳鼻科医はのどのスペシャリストを自負しておきながら明確な診断がつけられないまま、わからない咳の原因の診断はすべて「風邪」という墓場にもっていかれ、うやむやにされていたのです
しかし、近年患者さんがSNS等の普及により様々な情報を手に入れることができるようになり、医療リテラシーが上がり(簡単に言うと医療について非常に賢くなっていること)、医者に「何でもかんでも風邪」と言われても咳は治らないし、「風邪じゃないだろう」と思い始め、自分たちで自分の病状について調べはじめ、医者に疑いをもち、正しい診断を探し始めたのです
そこにNIOX VEROが登場し、喘息診断に確かな裏付けをできるようになったのです
ただし、万能ではありませんので注意はもちろん必要です
喘息に肺気腫を合併していたり、たとえNO(一酸化窒素)が低くても喘息の初期であったり、咳喘息と区別のつきにくいアトピー咳嗽であったり…
ここには多くの経験がまだ必要ですが、いずれはこれもAIに取って代わられる日がくるでしょう
つづく…