我々、医療関係者はよく他院に紹介状を書くことがあります。
紹介状は、正式には「診療情報提供書」と呼ばれ、医師が他の医師に患者さんを紹介する際に発行する書類のことを指します。
ではどのような場合に紹介状が必要になるのでしょうか?
1)急性期の疾患で入院加療が必要な場合
2)特定の機器(MRIなど)や治療(手術、放射線治療など)が必要な場合
3)専門性の異なる他科の疾患のとき
以上のような場合に紹介状が必要になることがあります。
現在は紹介状なしで大病院を受診すると特別の料金がかかります。
大病院は救急や重い症状の患者さんの治療を担う役割を持っています。
初診時では、一般的に7,000円(歯科の場合は5,000円)以上、再診時では3,000円(歯科の場合は1,900円)以上の特別の料金がかかります。
この料金は、医療保険制度改革法により規定されており、適切な役割分担を進めるために導入されました。
しかし、紹介元で紹介状を持参するとそのお金がいりません
(ただし紹介元で診療情報提供書代として3割負担で750円ほどかかります)
なんだか不自由な時代になりましたね
私自身は紹介状を積極的に書きます
その目的は1)の急性疾患で入院加療が必要な場合はよくありますが、2)や3)も多いです。
具体的には自分が想定していた経過と異なったり、診断がつかない場合などです
自分では一生懸命考えていたつもりでも、見逃しているポイントがあったり、よその科の医師の目でみれば意外と簡単に診断がつく場合もあるのです
そして、なにより紹介状を書くと必ず返事をいただけます
他の医師がどのように考え診断を下したか、患者さんがその後どのような経過をたどったかを知ることで自分にとって大きなfeedbackをえられます
以前は入院をお願いした患者さんがいれば外来が夜遅くなっても必ず入院された病院に行って患者さんの顔を見に行っていました
紹介した側にも紹介先の病院にきちんと入院して対応していただくまではこちらの責任だからです
夜遅くに訪れると夜勤の看護師さんには迷惑なことだったと思いますが…
ところが新型コロナが始まって、そうもいかなくなりました
人と人との接触を防ぐために他院の医師がふらっと患者さんに会いに行ってはだめになったのです
様々な変化はありましたがやはり紹介状を積極的に書くというスタンスは変わっていません
自らの勉強のためです
医者になったら一生勉強です
医者の不勉強は「恥」ではなく、むしろ「罪」なのです