今日の歌は「旅立ちの日に」

クリス・ハートさんの透き通る歌声で。

 

 

 

 

 

 

体調を言葉にして伝えることは、

簡単なようで難しいのかもしれません。

 

痛い

苦しい

しんどい

 

一般的によく使われる言葉です。

でも「痛い」という表現も

ピリピリ

シクシク

ズキズキ

ズーン

ガンガン

など、痛みにもいろいろあります。

 

特にがんによる痛みがある人の場合、

痛みをとるためには、どの薬を

どのくらいの量、頻度で使えばいいかを

見極める必要があります。

 

 

 

春から、ずっと見守ってきたツバメたち。

いよいよ、すべてのひなが巣立ちました。

 

 

たくさんのツバメたちを見守ってきたお父さん。

最近、急に痛みが強くなりました。

今までも、何回か医療用麻薬を

服用してきましたが、

「できれば飲みたくない」という

思いがあって、中断していました。

 

ところが、最近になって、突然

痛みが強くなりました。

手持ちの医療用麻薬を飲んだけれど

痛みが全然治まらず、お電話がありました。

 

すぐに訪問すると、今までになく

痛みが強いようで、起き上がることも

ままなりません。

「この薬は全然効かない・・・」

医療用麻薬が効かなかったことで、

ちょっとパニックになっている様子です。

 

そこで、まずはお父さんが「よく効く」

と思っている、今までの痛み止めを

服用してもらいました。

そして、しばらくしてから医療用麻薬を

服用したところ、痛みが軽減してきました。

どうやら、お父さんにはこの2種類の

痛み止めの併用が効果的なようです。

 

2日ほどたち、激痛はなく過ごせているようです。

 

「まあ、ピリピリとした痛みはあります。

 これを完全にとろうとしたら、多分

 麻薬を1時間おきとかで飲まないと

 いけないと思います。

 そんなに飲むわけにいかないから、

 このくらいの痛みなら、まあお友達です」

 

痛みがお友達かぁ・・・

こんなこと、初めて聞きました。

お父さんの、表現はいつだってとても個性的。

私は、いつもお父さんが言いたいことを

なかなか理解することができません。

今回も、「痛みがお友達」だなんて・・・

まだまだ修行が足りないなと思います。

 

 

これ以上、麻薬を飲むと、眠くなってしまうことを

体験しているお父さんは、眠ってしまうことと、

今の痛みを天秤にかけた時、痛みがあっても

起きていることを選択しているのかもしれません。

 

帰り際に

「今朝、ツバメが18羽くらい、集団で

 そこに来ていました。

 たぶん、今年ここから巣立った子たち。

 今日の北風にうまいこと乗って、

 旅立ってくれたらええんやけど・・・」って。

 

やっぱり、自分の体調よりも

ツバメが心配なお父さん。

きっと、ツバメたちもそれをわかっていて、

旅出つ前に、あいさつに来たのでしょう。

 

 

「秋まではもたない」

と言われたお父さん。

急な痛みが出たことで、

ご自身の命の終わりを

感じているようです。

 

「この子たちが巣立つまでは・・・」

と言っていたお父さん。

ご自身の役割を果たしたと

思っているのかもしれません。

 

「2か月くらいかな・・・

 と思っています」

 

こればっかりは、神様のみぞ知る。

私にはわかりません。

 

訪問からの帰り道。

おそらく、朝、お父さんのところに

あいさつに行ったと思われる

ツバメの群れに遭遇しました。

ちょうど同じくらいの数の群れ。

 

そのツバメたちの長旅の

無事を祈りながら帰ってきました。

 

 

遥かな空の 果てまでも

 

君は飛び立つ

 

限りなく青い空に

心震わせ

 

自由をかける鳥よ

 

振り返ることもせず

 

勇気を翼に込めて