米中の貿易戦争、北朝鮮問題、EU(欧州連合)の難民受け入れ問題に加え、今度はサウジアラビアの著名ジャーナリスト殺害事件でアラブの盟主・サウジが窮地に立たされ、世界の混迷は深まるばかりだ。
米トランプ政権は中国に対して高関税政策を取り、ロシアと結んでいた中距離核戦力(INF)全廃条約から「離脱する」とロシア側に通告。米ロ関係もさらに緊張感をはらむ。
サウジ人記者殺害の現場となったのはトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館。自国内で残虐な殺害が行われた証拠を握っているとして、同国のエルドアン大統領はサウジ政府を強く非難。イスラム社会の覇権争いの様相も深まる。
国と国の複雑なせめぎ合い。根底に、自分たちの国益をどう守り、国をどう維持・運営していくかという安全保障意識がある。
安全保障と経済運営が密接に絡む時代。米トランプ政権の対中貿易戦争もその代表例。エコノミック・ステイト・クラフト(経済力をテコにした外交戦術)という言葉が使われるようになった。
本誌『財界』では、多摩大学ルール形成戦略研究所所長の國分俊史さん(多摩大学大学院教授)にインタビューをし、『安全保障経済政策』に日本の政治・経済関係者が認識不足で、このことで欧米、中国などの動きから置いてきぼりを喰うという指摘をしてもらっている。