海外旅行者が訪れる町と聞いて多くの人はパリを思い浮かべるだろう。

訪れるとやはり素敵で、ここにドレスを着た人が乗った馬車が通っていたんだとか、

きっとこんな生活をしていたんだろうかとか容易に想像でき、胸が膨らむ。

 

多くの旅行者が喜ぶ楽しみは何か。

料理か、ショッピングか、街並みか。

どれも旅行者の意欲をそそるものだが、

お金があってもなくても平等に楽しめるのは街並みではないかと思う。

街並みを見て、歩いて、パリだ、自分はフランスにいるのだと実感するのである。

 

自分が住んでいる場所と同じ景色を旅行してまで見ようという人はいない。

違う景色を見に行くのだ。

 

それが、私がいるところでは、街の中心を除き、

その周りの建物の建設ラッシュが物凄いことになっている。

狭いエリアの街中だけフランスらしい街を残しているが、ふと斜め120度顔を上げれば、

その景色と全く似合わないアパートが目に飛び込んでくる。

もともとあったフランスらしい建物を修復工事して有効活用すれば、

もっと広い範囲でフランスらしい街を残しておけるだろう。

地震大国日本では建て替えが必要でも、

フランスではお金はかかるが可能である。

簡単に壊して、早い、安いのアパートを大量に建設しているのだ。

この早い安いのアパートは数年経ったら、もう醜いアパートと化し、

自分がフランスにいるのか中国にいるのかさえわからない景色となる。

なんと悲しい景色だろう。全く心が躍らない。

 

市長よ、それで良いのか。

大統領よ、これが未来のフランスの景色か。

私は残念で仕方がないよ。

 

スキー場のホテルも同じことが言える。

豪華さが売りのスキー場は素敵なシャレースタイルのホテルが中心地にあるが、

そこから少し離れた場所には集客をすぐにしようと、

どこの国にいるのかわからない安い早いの建物が大量に立っている。

一部の山には建物の規制がかかり始めた。

これ以上建設してはいけないとか、外観への規制。

 

多少はあるようであるが、安かろう早かろうのアパート建設はどんどん進んでいる。

 

わかっている、フランスだけじゃない、世界で起こっているこの現象。

せっかく旅行しても今ほど、以前ほど感動が少ない世界になるだろう。

現地の人の生活を見てみようと、観光地をちょっと離れたらどの国でも

同じような景色になっているのではと想像する。

あそこに行かないと見れない景色は、

人がわざわざ残そうとするエリア限定になってしまうだろう。