フランスで何かするにも時間が膨大にかかる。

銀行関係だって、予約してないとダメとかね。

だから、夫との共同名義の口座がまだ作れていない。

生活費を現金でもらっている。

 

現金で困るのはガソリンだ。

ほとんどがカード払いで、人がいるところでもチェックかカードのみというところもあるし、

人がいてくれる場所すら少ない。

だから、週末に夫のカードでガソリンを入れているのだが、

週末出かけたので入れ忘れてしまった。

 

大きいスーパーには人がいるかもしれないと行ってみたが、人はいなかった。

その代わり現金用のバーコード読み取り付きの機械が置いてあった。

ガソリンを入れてから支払うのか、支払ってからガソリンを入れるのかわからず、

どっちもやってみたが、うまくいかない。

現金用の機械では番号入れろとあったので、

スタンド6だったので、6と入れても番号が間違っていると出る。

機械にダメ出しされるのもイラつくものである。

 

何度かやってダメなので、夫に電話したが、そこで現金で払ったことないからわからない。

どこかあるから他行って。仕事忙しいから無理。

あしらわれた。

 

ガソリンないのにウロウロしたくないから、もう一度やってみるが、やっぱり無理。

そんな時、おじいちゃんがやってきた。

私はお金を狙う怪しいアジア人だと思われないよう気を付けながら、

おじいちゃんの行動を後ろから見ていた。

おじいちゃんはスクリーンすら触らず現金をすぐに入れた。

ほう!わかっている人はやることが早いと思った。

 

「お金入れたのに何にもなりゃしない。」

え!わかってないのに、お金入れちゃったの!

そりゃ無謀だよ、アンタ滝汗

お金戻ってこないんじゃないの?

心配しながら、助けを求めるおじいちゃんのスクリーンを見ると、

 

FINって書いてある。

そう、フランス映画の終わりによく見る、FIN

 

終了でしょ。そのボタン押して!

 

「押すんかい」とおじいちゃんが、押したらバーコード付きのレシートが出てきた。

 

するとおじいちゃんが、そのレシートを同じ機械のバーコード読み機に当てようとする。

ここで買って当てちゃだめでしょーが。

「それ持ってあっち行かないと。」

おじいちゃんを誘導。

 

そしておつりが一切出てこないシステムだと理解して、私も現金札を入れ、

バーコードを手にした。

 

そして、自分の車のある場所に戻り、

バーコード読み器に当てるが、全く反応なし。

スクリーンを触ってみるが、どうも反応がおかしい。

両方交互に何度かやったら、機械が始動し始めた音がしたのである。

こりゃいける!

バーコードをバーコード読み取り部分のもっと下にあった赤い光に当てたら、スクリーンが反応した。

ガソリンを選らんで、給油し始め、ふとおじいちゃんはどうなったか見たら、

隣の60歳くらいの夫婦に助けを求めて、3人であーだこーだやっていたがうまくいってないようだった。

おじいちゃんが私に助けて欲しいとジェスチャーする。

私は頷いた。

ふと、おじいちゃんの助手席を見たらおばあちゃんが私をずっと見ていて、助けてほしいとジェスチャーしてくる。

うんうん、と私は頷いたが、さっきまでガラガラだったガススタンドは私の後ろに3台も停まっていた。

 

私は助けるにしても、車どかさないとなとエンジンをかけた。

すると、おばあちゃんが窓を開け何か叫んだ。

私はできたからもう良いよとでも言っているのかと

窓を開けたら、助けて欲しいだった。

 

だーかーらー、行きますって。

感じの良い老夫婦だったが、フランス人は本当に短気だな。

 

私はちょっと車を発進して、停めても邪魔にならない場所に停車し、

おじいちゃんを見た。

おじいちゃんが腕をグルんグルン回して早く来きてとやっていた。

私はおじいちゃんのレシートを預かり、自分の時と同じことをしてみた。

そしたらスクリーンが変わったので、おじいちゃんに、どのガソリンが良いのか選ばせたら、

ディーゼルを選び、ホースを持って行った。

 

これで大丈夫と思ったのに、おじいちゃんはまさかの「ダメだぞ」と言った。

おじいちゃんのところにいって、私も給油しようとしてみたが、動かない。

 

なんで?と金額とリッターの表示を見上げた時に、見えたのは、

ディーゼルプレミアムのホースがない。

 

ディーゼル選んだのに、プレミアムは入らないでしょう」と私は言った。

 

「ああ!」おじいちゃんがほっとしてニヤニヤ笑いだした。

 

ホースを取り換え、やっとメータが動き出した。

 

ここまで結構時間がかかったのだが、おじいちゃんが助けに求めた隣の夫婦は

ずっといて、おじいちゃんと会話が続いてた。

後ろに何台も待っているのに、、、

 

フランス人の話の長いのはスーパーのレジでもどこでも、人を待たせてでもする。

私は2歳児を抱え大体後ろで待たされている側なので、いつも内心イライラしている。

 

自分はすぐにでも助けが欲しいけど、後ろで他人を待たせても気にしないのかな。

 

でもおじいちゃんはすごく感謝してくれた。

おばあちゃんも。

 

私が車で去ろうとした時にちょっと見たら、おじいちゃんは孫を送り出すみたいに、

大きく手を左右に振っていた。

 

実際は、本当は何も知らなかったのに、現金を入れてしまう大胆なおじいちゃんのおかげで、

私も給油できて、ありがたかったのだけど、それをきちんと言えるフランス語レベルではないから、言わなかった。

小さいことだけど、人の役に立ってよかった。

ありがとうと言ってもらえて良かった。

今日の良い天気のように素敵な一日。