旦那と一緒にいる時、私はいつも頑張らなくてはいけない。
直接的に強制されたことはない。でも旦那の求めるものは、私という人間でなく、自分の理想の妻像だということは節々から伝わってくる。
旦那の隣にいるためには私が私らしくいては駄目なんだと、頭の中で常に誰かが叫んでいる。
より明るく。より賢く。より逞しく。より優しく。
時折激しく息が詰まる。
無言のプレッシャー。それに応えられない自分への無力感。
それに自分はどこへ行こうとしてるんだろう?
確かに自分は今より輝けるのかもしれない。
でもその磨く行程が心を削る。
抱き合う だけで気持ちいい。
それは今まで知らない感覚だった。
確かに、誰のものであれ他人の温度は安心するものだった。肌の感触も好きだった。
しかし、彼と一緒になったときは。
魂がゆっくりと溶け合うのを感じるのだ。
どんなに疲れた体も、荒んだ心も。
柔らかに解き放たれていく。
いつでも適当な相手とのセックスは苦痛だった。
でもそこに至るまでの距離感の変化がたまらなく気持ちよくて、やめられない。
堕ちていく感覚は自慰で果てるのに少し似ている。
それは彼の一途な気持ちに直面して、微かに変化した。