天使を見た記憶 いつか秒針のあう頃 C2 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

路地に入ると、そこは住宅地だった。

裏には、海が見える。

3件目にある洒落た一軒家の前で、

あいつが女性と話をしているのが見えた。

すぐに帰るつもりらしく、

タクシーが少し先の道路脇に止まっている。

誰だ?この人は。

俺たちの母親の歳に近い年齢か?

それにこの家はあんたの家?

 

俺は、ゆっくりと

見つからないように近づいた。

 

「あれ?」

 

女性が止まっていた軽自動車に乗って

行ってしまった。

 

すると、あいつが家の呼び鈴のようなものを

鳴らすのが聞こえた。

家に入る気だ・・・

 

俺は隣の家の植え込みに隠れて

あいつの行動を見張った。

 

呼び鈴の音に反応したのか、

玄関がカチャリと開いた。

でもドアの開きが反対側で

開けた人物の姿が見えない

 

「用事があってきたんだけど。

中にいれてくれませんか。

・・・・・・・・・・・・。」

 

あいつが馬鹿丁寧な言葉で

中に入れろと言っている。

でも、その先の言葉は低くて

よく聞き取れない。

 

俺はそっとその家に近づいた。

建物本体は大きくはないが、

ビルドインガレージの凝ったつくりだ。

そのガレージの壁にJ・YAMADAと

名前が掘られたレンガが

埋め込まれていた。

 

山田さんの家?

じゃあ、なんであいつが

入っていったんだ。

あんたとどう、繋がりがあるんだ?

 

俺はその家の玄関の前に立った。

さっきあいつが鳴らしていた、

呼び鈴らしきものを鳴らそうかどうか

俺は迷った。

 

家の持ち主は山田さんらしい・・

でも、あいつが入っていった。

 

俺は、

そっとドアに耳を当てようとして、

ドアがちゃんとしまっていないことに

気が付いた。

 

ギィ・・

俺は、そっとドアを引いた。

人の姿は見えないが、

家の奥から声が聞こえる。

俺は足音を立てないようにして

家の奥へと進んだ。

どうも、声はリビングの奥、

キッチンの脇にあるドアの先から

聞こえるようだ。

 

あれは・・ガレージの入り口?

 

「何を言ってるのかわからない。

さ、櫻井さんの絵はないよ。

だから、帰って、帰ってくれ。」

「そんなはずない。

どうしてそんなウソを・・

メンバーに渡した絵が謝罪なら、

俺が一番先だろう」

 

やっぱりあいつだ。

そして、必死に抵抗する声はあんた。

 

「これだ、これだろう・・

な、なんだよこれ!

こんな絵を描くなんて・・

こんな絵、持っていけるかよ!

最低だ・・何を考えてるんだよ、

大野さん・・

信じられない・・」

「だ、だからあげる絵はないって・・」

 

バン!

 

あんたの悲痛な叫び声が聞こえた途端、

俺は思い切りドアを開け放っていた。