魔王73 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、今帰りか?

仕事っていう雰囲気じゃないけどさ。」

 

振り向くと

そこには、いつもの毒舌男が

なにか疲れた顔で、立っていた。

 

「カズ、おまえ・・どうしてここに?

仕事はしてないのか?」

 

そうさ、サトが成瀬さんで、

芹沢智だって・・聞いた俺は

頭が混乱しているし、

成瀬さんから連絡はないし・・

会って話をしたいのに・・

サト、

サトの成瀬さんなら

カズは仕事場で会っているはずだ。

俺にサトのいる場所を教えてくれよ・・

成瀬さんの行方をさ

 

でも、俺が1人二役を知ったということは、

多分カズには言わない方がいいような気がする。

 

黙っていたカズが不機嫌そうにつぶやく。

 

「ストームは休みなんだよ。」

 

カズの返事は素気ない。

どうもそこには触れたくないようだ。

 

「ストームの仕事はなくてもさ、

おまえら、いつもなんか

仕事してたじゃないか。

サトと一緒にさ。

そういえば、

今日はサトと一緒じゃないのか?」

「いつも一緒にいるわけじゃない・・・・・」

 

不意に不機嫌になるカズ。

これはどうしたことだ?

 

しかし、これ以上突っ込んで

俺がこんな姿でいることを

追及されても藪蛇だしな。

それにしても、

カズが用もないのに、ここに来るはずもないし。

 

まさか、カズもサトのことを探している?

サトは成瀬さん・・

俺が成瀬さんと一緒にいたんじゃないかと

探りを入れに来たのか?

 

「カズ、成瀬さんと連絡とれないんだ。

彼に何かあったんじゃないかと、

心配なんだよ。

成瀬さんの家はどこ。

彼の仕事は?

職場に連絡したい。」

 

畳みかけるように

カズに質問を重ねていく。

カズがさらに額に皺を寄せる。

 

成瀬さん、どこに行ったんだよ。

あの日俺が倒れた後になにがあったんだよ。

芹沢が死んだって、どういうことなんだよ・・

 

「とにかく、彼に会いたいんだ。

電話出ないからさ、直接行きたい。

俺のことが嫌いになったのなら、

直接その口から理由を聞きたいんだ。」

 

益々口を捻じ曲げて黙り込むカズ。

ここまで来たら鈍い俺でもわかる。

絶対に何かあったんだ、

サトが絡むことで。

そして、サトに逃げられたから

探しているんだ。

ストームの仕事がないって、

それはサトがいないから?

成瀬さん、本当にどこにいったんだ。

 

「なぁカズ・・・頼む。

ギャラのいい仕事また探すからさ。」

 

俺が再度頼むと急に態度を変えた。

 

「前回くらい

ギャラを弾んでくれるバイトを斡旋したら、

考える。

なるべく早くな。」

「えっ・・」

 

それは無理だ。

あれは特別だ。

こいつそんなに金に困っているのか?

あれだけケチなんだ、

たんまり貯まっているはずじゃ・・

 

「櫻井翔、連絡を待ってるからな。」

 

くるりと、背を向けてカズは歩き出した。

成瀬さんの、つまりはサトの情報がないなら、

もう俺には用事がないとでも言うように。

 

「おい、成瀬さんの家はどこだよ。」

 

俺が叫んだ声が聞こえたはずなのに、

カズは振り向きもしなかった。