魔王68 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

カズ

 

 

 

 

それから数回、

俺はおっさんの鈴木刑事と

若造の小川刑事の

凸凹コンビの取り調べを受けた。

そして、そのたびに

同じことを繰り返した。

 

あの通りを歩いていたら、

凄く立派な家の前に出た。

若い男が入っていったから、

その後に門を押したら

中に入ることができた。

玄関の鍵も開いていて、

人の気配がなかったから中に入った。

奥の部屋にしかはいってない。

ドアを開けたら、

高そうな置物があったから、

お金が置いてあると思ったので。

でもお金が見つからなかったので、

パソコンで何かわかるかと思ったけど、

セキュリティが強固で無理だった。

だから何も取ってないし、

壊してもいない。

先に入ったはずの若い男にはあってないが、

上から大きな物音がしたので、

怖くなって逃げようと

焦ったところで捕まった。

 

 

自分で考えた筋書きのセリフだから、

寸分の狂いもなく答えられたはず。

 

3日目の昼、

井ノ原さんが

ハンバーガーを指し入れてくれた。

 

「カズ、おまえ、

少しは金持っているよな?」

「えっ?」

 

いきなり聞かれた俺は、

返事に詰まった。

金はあるさ、

必死に貯めたからな。

それがどうした?

 

「弁護士を雇えば、

不起訴になるかも・・

しれないんだけど・・・」

 

つまりは、事務所は

金を出さないってこと?

俺は所属タレントだけど、

その程度ってことか・・・。

 

「本当に弁護士雇えば

大丈夫なの?

ぼったくりじゃないよな。」

「その点は確認済みだ。

というか、早く雇って対策しないと・・・

払えるな、報酬を・・」

 

何かを焦っているような

井ノ原さんの剣幕に

おされるように俺は、

仕方無く頷いた。

 

「わかったけど・・・

あ、あのさ、

ところでストームはどうしてるの?

皆は?」

 

サトのことが聞きたくて

話を振った俺に、

聞こえたはずの井ノ原さんは

スルーした。

 

「急いで手配するからな、カズ。

じゃあな、頑張れよな。」

「井ノ原さん・!」

 

なんでだよ、

サトになにかあったのか?

 

5日目の朝、

俺は留置場から、外に出された。

連れて行かれた殺風景な部屋には、

銀縁眼鏡をかけ、

大きなカバンを持った男が待っていた。

 

「初めまして、二宮さん。

浦野と申します。

芹沢さんのご家族と

示談が成立しましたので、

釈放となりました。

帰りましょう。」

「へっ?示談?」

 

俺の頭の疑問符に答えることなく、

手続きをしたであろう書類を

俺の目のまえに置いた。

 

小さな文字でびっしりと

記載されたその書類の一部分

示談金の掛かれた欄だけが、

 

そこには

金、500万円と記載されていた。