魔王56 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

カズ

 

 

 

 

「あいつに連絡した。

やっぱりカズのいったとおり、

早く会いたいって言った。

だから次の日曜日の7時に約束した。

櫻井さんに計画を説明するので、

今日会ってくる。」

 

夕方の6時を少し過ぎた頃。

新曲のレコーディングのため、

都内のスタジオについた俺は、

入り口ですれ違ったサトに告げられた。

 

5人で一緒に歌うのではないから、

レコーディングの日は

いつもバラバラにスタジオ入りする。

今日も忙しい3人は、

まだ到着していない。

暇なサトが一番先に来て、

もう終わったようだ。

勿論そんなに短時間で

終わるものではないが、

サトは歌が上手なので、

特に問題なく済んだのだろう。

 

「わかった。

上手に丸め込んで、

協力させろよ。

なるべく話し合いを長引かせるように

指示してな。

俺の作業時間が長い方がいいからな。

サトが調べてくれたパスワードが

まだ有効なことを願うぜ。

あっ、櫻井翔に土産貰って来いよ。」

 

ポンと肩を叩くと、

サトはどうでもいいような顔で頷いた。

 

 

 

レコーディングスタジオの機器に

不都合が見つかり、

その対応のために

収録が一時中断した。

どうにか、調整を終えて録音を再開したが、

すでに9時。

 

後から到着した3人が

先にきた俺が終わっていないのを見て

あからさまに嫌な顔をする。

俺のせいじゃないけどな・・ふん・・

 

あいつらの顔を見ているのが嫌で

精一杯まきで頑張り

10時を少し回ったところで終わった。

 

サトのやつ、うまくやっただろうか。

ラインを入れてみるが既読にならない。

風呂か?

とにかく帰ったら話を聞こう。

 

「じゃ、井ノ原さん、終わったんで、

俺帰ります。」

「カズ悪いな、送れなくて。

気を付けて帰れよ。

あ、そうだ、

俺がいない時に

臨時で担当したマネージャーの高田君、

来月から正式にストーム専属となったよ。

二人になるからな、

カズやサトの送迎もちゃんとできるから。」

 

挨拶したら

マネージャーの井ノ原さんが

嬉しそうに報告してきた。

ふ~ん。

散々俺らをないがしろにしてきたけど、

ようやくね。

 

「これで、井ノ原さんの負担も減って

よかったですね。

ただね、彼大丈夫かな?

あの二人の相手はかなり負担がね・・

じゃあ、お先に。」

 

俺は少し嫌味を言ってから

ぺこりと頭を下げた。

 

 

 

 

まだ11時なのに、

見上げたマンションの窓は

暗かった。

しかし玄関のドアを開けると

そこにはサトの靴があった。

 

キッチンのテーブルには、

この間貰ったのと同じ、

ケーキの箱があった

櫻井翔とは予定通り会ったんだな。

これをまた貰ったのか。

同じものを寄越すとは、

あいつも気が利かないやつだぜ。

 

俺は鞄を置くと

サトの部屋に入った。

家具など何もないがらんとした部屋。

ベッドすらない。

その部屋の真ん中に

布団を敷いて寝ているサト。

俺はサトの枕元にしゃがみこんだ。

疲れているのか、

俺が顔を近づけても目を覚まさない。

 

「サト、もう少しだ。

やっと終わる。

そうしたら・・・」

 

俺は、サトの布団を直してやると、

部屋を出た。