魔王39 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

カズ

 

 

 

 

「サト、仕事が終われば、

好きにしていいから。

したけりゃさ、

櫻井翔と好きなだけやれよ。」

「わかった。」

 

スタジオの片隅。

俺は横に座っているサトに

念を押した。

眼鏡の奥のサトの目が

一瞬鋭く光った。

 

 

 

 

 

櫻井翔が

会いたいといっていると告げた時、

サトの反応は

思ったとおりだった。

 

「・・嫌だ。」

 

俯いて拒否の返事。

 

「そういうと思ったよ。

だけど、

会ってもらわないと困る。

櫻井翔を

利用するんだからな。」

「利用?」

「あの野郎を嵌めるため

櫻井翔に

恋人になってもらうんだ。」

 

怪訝そうな顔のサトに、

俺は口の端を少し上げて

嗤った。

 

あと一人、最後のあの野郎が

警戒してサトに会わないなら、

会いたくなるように

仕向けるだけさ。

それには、

あのヘタレ櫻井翔を

利用するんだ。

あいつを騙して協力させる。

サトという甘い餌を使って・・・

おっと違った。

櫻井翔が会いたいのは

成瀬領か・・・

 

 

 

あの野郎は

自分がそっちに引きずり込んだ

サトに入れ込んでいる。

ただ自分の取り巻き?

いや、共犯者たちに

立て続けに起こった最悪な事件たち。

思いもよらなかっただろう。

他人事ではないと、

危機感を抱いているはずだ。

個々のつながりはバレてはいないが、

下手をすれば

どこから

ぼろが出るかわからないと

感じているはずだ。

サトと会うことはリスクが高い。

もし誰かに目撃されたりしたらな。

おれらも一応売れてきたアイドル。

週刊誌が張り込んでいるやもしれない。

だが、頭ではわかっていても

サトを抱きたいはず。

欲望を抑えるために

かなり無理しているだろうな。

そこにあらわれる恋人と称する男。

サトから手を引けと迫ってくる。

あの野郎の怒り狂う姿が

目に浮かぶぜ。

 

櫻井翔無事で済むかな?

それを隠し撮りして脅す・・・

はははは・・

ナイスアイデアだな・

 

俺は、休憩時間に、

誰もいない屋上で

サトに俺の計画を説明した。

最後だから失敗は許されない。

 

サトは黙って聞いていた。

そして頷いた。

 

 

 

撮影が終わって、

当然ながら、ショウとJは別の仕事に向かっていた。

マーは、

その人懐っこい好青年を気取った演技で

飲み会に誘われている。

きっとまた、

あの芸人のおごりで高級店に行き

たらふく飲み食いするはずだ。

そこだけは羨ましいぜ。

 

俺はニコニコとしながら

楽屋を出ていくマーの後姿を睨みながら

サトに今夜は櫻井翔に電話しろよなと、

耳元で囁いた。