翔4
「あっ、落ちたよ、とんかつ。」
俺は、テーブルに落ちたとんかつを拾い上げると、
皿に戻した。
でも、食べようとしていたとんかつのことは
すでに貴方の意識からなくなっている。
「嬉しい!翔くんと旅行できるんだね。」
「ははは・・そうだね。
夏だもの、旅行にいかなくちゃね。
バカンスかあ・・」
仕事が忙しくて・・というよりも毎日が充実しているから。
俺にとっては、毎日が楽しくてさぁ・・
イベントなんかまったく頭の片隅にもなかった。
あれほど、記念日とかを気にする俺だったのに・・・
「智くん、どこに行きたいの?
リゾート?
温泉?
遊園地?
場所を決めて、ホテルとらなくちゃね。」
俺は、ポケットの携帯を取り出すと、
旅行会社のサイトを開ける
人気のホテルリゾート、
料理と露天風呂が有名な老舗温泉、
山の日の遊園地の予約入場券等・・
色々と当たってみるが・・
「あれっ・・ここも?
こっちはどう?
あれっ、これも・・」
「どうしたの?翔くん」
ポカンとした顔で見ていた智くんが
いきなり叫びだした俺に、
心配そうに声をかけた。
「智くん、
山の日は祝日で連休だろう?
予約が一杯だ・・
とにかく飯を食ったら、
向こうのパソコンで俺調べるよ。
大丈夫、まだ10日以上あるんだ。
穴場が残っているはず・・」
そうだよ、普段我儘なんか全然言わない智くんが、
行きたいっていうんだ。
絶対に連れて行く。
「翔くん・・」
眉毛を八の字に下げた智くんが
今度はミニトマトを落とす。
コロコロと転がったミニトマトは
俺の前まで来て止まった。
「大丈夫だって、よし!探すぞ。」
俺は、ミニトマトを口に頬張ると
ご馳走様と席を立った。
その俺の腕を貴方が掴んだ。
「翔くん!」
「どうしたの?」
普段優しい口調で話す貴方が
大声で俺の名前を呼んだから、
驚いて、また椅子に座った
「あの、あのね
おいら行きたい場所があるんだ。」
「行きたい場所?
すぐに調べるよ、智くん。
どこ?」
俺は、さっとネットを立ち上げて
貴方の返事を待つ。
「伊豆・・」
「伊豆?
伊豆のどの辺?
伊豆も広いからね。」
ワニがみたいのかなぁ、サボテンかな、
それとも海釣りしたいのか?
海水浴?
水族館?
なんでもありだからね、伊豆は・・
うん・・伊豆?
そういえばあの別荘取り壊すと親父が言ってたな。
俺の脳裏に智くんを初めて抱いた
あの夏の日が思い浮かぶ。
あれは・・8月も終わりに近かった頃・・
懐かしい・・最後にもう一度行きたい・・
「伊豆っていえばさ、
爺さんの別荘取り壊すんだそうだ。
その前に一度・・」
「翔くん、おいらそこに行きたいの。
お父さんにお願いしたんだ、
泊まらせてくださいって。
おいらなんかが行ったら
翔くんのお母さんが怒るかもしれないけど、
どうしても、翔くんと行きたくて。
お父さんはいいって・・泊まっていいって・・」
「智くん・・
あの人のことは関係ないから、気にしなくてもいい。
そうか、親父に強請ったのは、別荘のことか」
あの人と親父は離婚が成立した。
あの人があの別荘にくることはない。
俺の思い出の場所は、
智くんにとっても思い出の場所なんだね
嬉しいよ・・
「行こう、11日山の日の祝日に。
使わせてほしいって、
親父に連絡しておくよ。
そうと決まれば、
電車の指定席を取らないとな。」
俺が携帯をいじり始めると、
貴方がもじもじしている。
「うん?どうしたの智くん?」
「あ、あのね。
和と、相葉君も誘ったらダメかな?」
遠慮がちに聞いてくる貴方。
雅紀と、二宮か?
本当は二人きりがいいけど、
貴方は二宮を連れて行きたいんだろうな。
まあ、俺も雅紀にはいろいろ世話になったし、
昔、散々、雅紀と泊った場所だしな。
「わかったよ。
4人分座席を予約する。」
「ありがとう、翔くん。」
余程嬉しかっただろうな、
貴方がテーブルの向こう側から身を乗り出して
俺の頬にキスした。
未だ、終わらない・・
最後まで書けてない・・
でも、ぎりぎりまであがきます。
ダメだったらごめんなさい。