魔王10  | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

カズ

 

 

 

 

 

 

 

 

「まじかよ?あの喜多川物産のキャンペーンCMにかよ?」

「カズ、二人だけで行かせたときは心配だったけど、

金が絡むとお前はやるな。」

 

俺がいなくてよくできたじゃねえかって、信じられない顔のJと、

これまた、褒めているのか、貶しているのか、

仕切り屋のショウも驚いた顔を見せる。

 

「スゲー。これでまた有名になるねぇ。

今度できるでっかい競技場でライブできるかなぁ。

先輩たちがライブしたとこよりもデカい場所でしたいんだよ。俺。」

 

一番になりたいが口癖のマーが、

デカい手で俺の背中を叩いた。

 

「とにかく、こんな大きな仕事はもう来ないから。

みんなここが力の見せ所だ。

ストームの実力をみせよう。」

 

マネージャーが、契約の概要を説明するのを

皆、神妙な顔で聞いている。

 

「とにかく今はスポンサーの機嫌を損なわないように

くれぐれもスキャンダルは厳禁だからな。

女性関係、金銭、反社会的行動、

わかってるな。」

 

一人一人の顔を見ながら繰り返した後、

最後にサトのそばに行くと耳元で囁く。

それから、マネージャーは

事務所の会議室を足早に出て行った。

 

「ついに俺の出番がきたな。」

 

どこからその自信が出てくるんだよ?J。

 

「喜多川物産のことをよく調べないと、

経営方針、株価も大事だな。

あ、そうだ、就活生に聞くかな。

俺の大学の後輩にいたはず・・、」

 

スマホを取りだして、調べ始めるショウ。

なんだそりゃ。

入社するのか?

それとも、株を買って儲けるのか?

 

「あそこさ、バスケのプロチーム持ってるんだよね。

俺、見に行きたいなあ。

当然いい席のチケットくれるよね。」

 

それは、多分無いな。

 

俺は部屋の隅で

皆の話を黙って聞いているサトに近づく。

 

「まさか、あいつが担当者だったとはな。

あれを見られたときは焦ったけどさ。

契約金の40%いつもの口座によろしく。

大丈夫、報酬に見合った仕事はするからさ。

 

さて、次のターゲット、急ごうぜ、

このキャンペーンが始まると動けなくなる。」

 

サトが顔を少しだけ上げて俺を見た。

その目は、いつもの癒しのまなざしではなく、

氷のように冷たく感情のない目だった。