TWO TO TANGO―38 潤8 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

「さ・・・とし?さとしって名前なの、

息子の名前。

何歳くらい、ねぇ梅さん。」

 

さとしって、あのさとしだよね、絶対。

大野沙都子にそっくりな南条真智子。

その南条真智子に似ている息子のさとし。

間違いない・・

あの女性は、さとしだ。

さとしが、大野沙都子のふりをしていたんだ。

姉の・・・

 

やっと、やっとみつけた。

俺が初めて会った大野沙都子に、

妙に惹かれたのは、

彼女の正体がさとしだったからだ。

 

そうか、納得した・・

って違うだろう・・

そうと、分かれば、

さとしのいる場所を聞かないと・・

 

「梅さん、だからさぁ、

その息子のこと、詳しく教えてよ。」

 

俺は、茶碗をおくと、身を乗り出した。

 

「まぁ、潤さん、どうして、

そんなに気になるのですか?

綺麗な子だっていっても男の子ですよ。

 

確か、年は翔さんと同じ歳だったような?

そうそう、南条さんとこの

相葉さんの孫と同じ歳だったから。」

「南条さんとこの相葉さん?」

 

俺には梅さんの言っていることがわからない。

 

「いえね、小学校時代の同級生の春子さんが

嫁に行った先が相葉さんで・・」

「嫁に行った先?」

「その春子さんがお勤めしていたのが、

南条さんのお屋敷で、

春子さんの孫の雅紀君が

智君と仲良しなんですよ。」

 

はぁ~やっとわかったよ。

 

「それでさ、さとしってどう書くの?」

 

名前を聞かないとね。

 

「知るに日で智ですよ。

活動的な子ではなかったから、

あまり見かけたことはありませんでしたが、

ほっそりしていて、小柄で、

大人しい感じの子でしたね。

あまり、記憶に残る子じゃなかったですけどね。

ただ、

綺麗だったことはよく覚えていますよ。」

 

綺麗・・

そうだ、子供の頃はよくわからなかったけど、

智は綺麗だった。

 

「それで、智は今どこにいるの?」

「春子さんの孫のところだって聞いています。」

 

相葉雅紀という人のところってこと?

梅さんの話は肝心なところが謎なんだよな。

俺が頭を掻きながら、

首を捻っていると、名前を呼ばれた。

 

「潤さん、南条さんの息子の智君のことが、

しりたいのですか?」

「あ、山田さん。」

 

それは、管理人の山田さんだった。

 

「ええ、最近、某所で見かけて。

 

昔、この別荘に来た時に

よく遊んだのが彼ではないかと思って。

懐かしくて・・」

 

俺は先日のパーティのことは黙っていた。

言わない方がいい。

だって偽者を務めていたんだ。

外には漏らさないほうがきっと・・

 

「智君は、都内の大学に進学した

相葉さんところの雅紀君のアパートで、

一緒に暮らしています。

 

雅紀君が軽井沢を出た1年後かな?

智君はここにいられなくなったから。

 

大野さんは大変だったと聞きました。」

 

山田さんは、そのことを思いだしたのか、

少し暗い表情を見せた。