(1) 主なタンポポの見分け方
タンポポは数十種類ありますが、在来種の関東タンポポと外来種の西洋タンポポは有名です。その見分け方は知っていますか。
このように、つぼみを包むうろこ状の総苞(そうほう)の形で見分けます。
(2) キク科の特徴
たくさんの花びらが集まって1つの花のように見えてますが、実はキク科の植物は花びら1枚が1つの花になっています。試しに花びらを1枚抜き出すと、めしべ、おしべ、子房、はなびらとすべての部品がそろっています。
(3) 住み分け
タンポポは地面に這うように葉を広げるため、背の高い植物が隣に来ると日陰になって枯れてしまいます。どのようにして生き延びてきたのでしょう。
それは、どのような場所にタンポポが見られるか思い出すとわかります。道端の固く踏みしめられた地面や、敷石の隙間などです。つまり、植物が住むには条件の悪い場所には競争相手がいないため、背の低いタンポポも生きることができます。
(4) 身軽になる
タンポポは受粉すると、下図のようにめしべとおしべの部分が取れてしまいます。
将来、子房が成長してできた種を風に運んでもらうには、軽いほうが有利だからです。
【注意】 花びらを取り出して観察するときは、茎が短い花を摘んで観察します。何故なら、茎が伸びた花は受粉済みでめしべ、おしべが取れやすいからです。
(5) 茎がのびる
受粉したタンポポの茎は長く伸びて、背が高くなります。なぜでしょう。
それは、高くなれば種が風に当たりやすくなり、遠くまで種を飛ばすことができるからです。
(6) 柄が伸びる
受粉して子房が成長するにつれて、下図のように柄が長くのびていきます。
短いままの場合と、長くなった場合とで比べてみましょう。
また、花床が丸くふくらむことにより、子房が大きくなった種がぶつからずに並ぶことができます。花床が横に広がるより省エネで、綿毛も重ならずにすみます。
(7) 自然界は知恵のかたまり
私たちには脳がありますから、考えることができます。タンポポには脳はありません。ではどのようにして現在のような生き方を手に入れたのでしょう。
タンポポに限らず、植物も動物も今ある生き物はすべて、長い長い時間をかけて、私たちの考えもつかないくらい多くの変化を試み、そのうちのほんの一部が生き残って現在に至っているのです。
その意味で、現在ある生き物はみな進化の頂点にあるのだと思います。
私たちの身の回りにあるものは、知恵のかたまりでできている。そんな目で見ると、見える世界が広がってくるかもしれませんね。