(前回からの続き)

 Q新市長と新議会とは「この町のおかしなこと」を追究していた。

 前市長の任期中、指定管理者・指定管理業者が決算報告をしていなかったことや、特定の補助金制度がある年だけ実施され、1社が申請して補助金を活用した事業を行うと、その事業は翌年にはなくなっているという事例も複数明らかになってきた。

 ソーラー事業補助金もその一つである。

 

 かつてのR議員風に言うとこうなる。

 「ソーラー事業補助金は特定の業者のために市が作った制度としか私には思えんのです。そのことが露見しないよう最初は個人の省エネ補助金制度を立ち上げたのではないですか。それがうまくいくと、これを企業版に拡大したのではないですか」

 「企業版省エネ補助金はソーラパネル事業を支援するもので、これが本当の目的だったのではないですか。ソーラー事業補助金を申請したのは1社だけです。この企業がこの制度を利用してソーラパネルを設置すると、省エネ補助金制度は個人・企業ともに廃止になりました。このことから、市はソーラパネル事業とそれを行う企業のためにこの補助金を作ったと考えられます。個人への省エネ補助金制度は、その隠れ蓑として制度化された。そういう風に解釈してよろしいですか」

 

 ソーラー事業補助金を申請したのはW議員がオーナーの企業である。

 その企業が、ソーラパネルを設置し事業を行っている。

 補助金の提案は議会の承認を得ている。補助金の申請を受け、審査・許可をしたのは市である。市長の公印が押された書類も開示された。

 また、この事業の申請・許可を担当した市役所職員2名が退職していることも明らかになった。退職したのはソーラーパネル事業が行われた年の年度末で、一人は家業を継ぐため、ひとりは一身上の都合となっている。

 一身上の都合を理由として退職した職員は県外に移住し、町おこし系のNPO法人職員に転職している。

 

 ただ、いずれも法的な瑕疵はなく、犯罪として立件することは難しい。

 

 中学生・高校生の平均的な感想は「責任を取らせるとか、罰するということは求めていない。関係した人は正直にすべて話して欲しい」である。

 「おかしなこと」に乗っかってしまった市民だっている。だが、それを罰することが解決ではない。すべてを明らかにし、そこから学び、町も市民も生まれ変わればよい、そのことが希望ある未来や誇りの持てる町の構築になるのではないか…

 

 この言葉で、Q新市長就任後最初のドキュメンタリーを締め括った。