ところで、俺が市政刷新ネットワークから離れてから、ブログは誰が書いていたのだろうか。

 もちろん、俺は知らない。

 ただ、主張はもちろん文体も似せて書いてある。

 ちなみに、文体にはいくつかパターンがある。一つは大学時代、構内でよく見た縦看である。自治会や学生運動団体が「〇〇反対」と書き、その主張をアジっていたヤツだ。市政刷新ネットワークの偉い人には70年安保世代がいる。そういう人たちは、この文体に郷愁を感じるらしい。

 

 さて、ブログを書いたと考えられるのは、Sに対する反論をnoteに書き綴り、その内容を出版した作家さんである。彼は市政刷新ネットワークの支援者であり、参加者との個人的関係もある。noteの記事も本の出版も市政刷新ネットワークとの関係性から生じたものだ。

 ちなみに、Sは「議会だより(議会が発行する広報誌)」の内容に不正確な内容、恣意的な編集があると指摘、その予算執行を止めた。議会はそれを不服とし議会だよりの費用を含めた修正予算案を提出し、過半数でこれを可決した。

 Sはこの件を県知事による裁定に持ち込んだ。これに対し、市政刷新ネットワークも県知事に議会の正当性・S市長の主張が不当であることを訴えた文書を提出した。その際、参考資料としてこの作家さんが書いたSの暴露本??を添付している。

 (あの本は、参考資料になるのだろうか)

 

 ある日妻が俺を呼ぶ。市政刷新ネットワークのブログを開いて指さしている。

 そこには市政刷新ネットワーク解散の意が書かれていた。

 なるほどな…市政刷新ネットワークは反市長団体だ。もう少し正確に言うと反S団体だ。60歳を越えたおじさんたちが40歳そこそこの市長に対し、悪意に満ちた批判を繰り返した団体だ。

 批判にこの町をより良くしようという建設的な意思はない。

 あるのは、歴代の市長と組んで構築してきた利権を維持することと公金ビジネスへの執着だ。ただ、自分たちが行ってきたことは不正であり、多くの市民を裏切る行為であるという自覚はあるようだ。それをSに暴かれることへの恐怖もあった。

 当初、市政刷新ネットワークは年下の若造であるSを恫喝で支配しようとして見事に失敗した。そこで、批判と裁判をしかけることでSを支配しようとした…これが真相だ。

 

 ところで、俺が辞めてから議会の一般質問の原稿は誰が書いたのか。

 どうやら市役所職員に書かせたらしい。議員の質問も市長の答弁も職員が書いたものになる。そうすると議会は「スムーズな対話」が進んでいるように見える。

 S就任以前の議会に戻ったらしい。

 

 後日談が二つある。

 一つは、市政刷新ネットワークが突然解散の意思を示したのはなぜかだ。

 父によると、都知事選が終わって東京都選挙管理委員会から市政刷新ネットワークに電話があったらしい。それでビビったという噂が市民の間に広まっている。

 もう一つは、翌年から市役所職員の退職が続いたことである。

 特に若手、係長クラス中堅職員が退職した。

 市政刷新ネットワークの質問原稿を代筆することに耐えられなくなったからではないか…というのが市民の憶測である。