Sの都知事選は2位で終わり、俺の町の市長選・補欠選挙では市政刷新ネットワークが勝利した。

 月曜日の朝の目覚めはよいとは言えない。

 ちなみに今日は旅巡業の休養日。なぜならホールも休館日だから。

 火曜日に搬入とステージ作り、リハをして水曜日から長野県松本市で3日間の公演がある。この公演が大千秋楽となることもあってか、浅間温泉に宿泊してのんびりしているメンバーもいる。価格変動制の場合、日月の宿泊費は安い。

 

 俺は駅前のホテルに宿を取り、チェックインしてからTVの選挙特番を見ていた。

 Sが、各局のインタビューに答えている。俺はザッピングしながらSを追いかけた。

 選挙特番の進行をつとめるのは各局のエース級のアナウンサーのはずだ。そういうアナウンサーが、選挙が終わった後に「Sさんの東京解体、地方分散という主張がよくわからなかったのですが、どういうことですか」と質問している。

 これが、放送局のアナウンサーの質の低下なのか、テレビ局の意向による質問なのかは俺にはわからない。

 もしアナウンサーが考えた質問ならば、このアナウンサーは勉強不足だ。まずこの質問は「投票前」にする質問だ。さらに言えば、選挙期間中Sはこの質問を何度か受けており、きちんと説明している。インタビュアーとして取材不足・勉強不足だ。

 もし、制作側が作った質問であるならば、そこには悪意が隠れている。こういう番組でSに与えられた説明時間は1問あたり1分程度だ。1分で人口減少という前提をふまえた説明をするのは難しい。説明することが難しい質問をぶつけることで都知事にふさわしくなかったという印象を与えることができる。そういうことだ。

 

 各局の質問は、大きく「敗戦の要因」「Sの今後」の二つに集約される。

 人口減少を前提とした社会システムの再構築という発想からの質問はない。

 そして、国政か県知事かどちらかという質問をぶつける。どちらか(which)と問われれば、どちらの可能性もあるという答えになる。ただ、本人にその意思はないだろう。しかしマスコミは「どちらの可能性もある」を切り取って、そこに悪意の解釈を重ねていく。大手マスコミにもゴーストライターみたいなヤツがいて、そいつがアナウンサーの口を使ってSを貶めようとしているようだ。そういう質問やコメントには、俺が書いた市政刷新ネットワークのブログと同じ主張もある。

 もし、テレビ局がネットのブログから取材していて、しかも市政刷新ネットワークのブログの偏向性・大本営発表に気づいていないなら、報道機関としてのテレビ局はその機能を著しく失いつつあると言えるだろう。

 

 ただ、Sが落選したのは事実である。

 俺はその日、松本市の本屋で漱石の「こころ」を購入して読んだ。だが、途中でつらくなってやめた。俺の今の立場は「先生」と同じだ。妻が何も知らないことまでよく似ている。