Sが立候補した都知事選には、50人以上が立候補した。

 それがよいことなのか、どうなのかは俺には判断がつかない。

 また、この都知事選では後々まで伝えられるような選挙ポスターの問題、政見放送で服を脱ぎだす女性や手話通訳に迷惑をかけるような候補者が出てきた。いわゆる泡沫候補である。当初は、Sもこのような泡沫候補扱いであったと言える。

 

 だが、徐々にSは頭角を現し始めた。

 すると、アンチによる「反S攻撃」も激化した。

 ただ、これはSだけではない。現役の都知事にも、国政から転身した有名立候補者にでもある。その主張は「こいつだけは都知事にしてはいけない」というものだ。

 都知事にしてはいけないという根拠・理由は、よく言えば個人の価値観、悪く言えば思い込みが多い。陰謀論に近いものも少なくない。あとは、俺が書いた市政刷新ネットワークのブログや、反市長の主張を繰り返すBさん、さらに市政刷新ネットワークと価値観を共有する地元作家が書いたSに対する暴露本??を根拠とする主張だ。

 市政刷新ネットワークのブログを書いている俺が断言するが、市政刷新ネットワークの主張も、Bさんの主張も、作家が本に書いた内容も、すべて「Sが気に食わない」という感情論を結論とした恣意的な妄想にすぎない。

 たとえば「恫喝裁判はY女史の全面勝訴」と書いている。これは事実に反する。

 「中学生に美術館維持・給食費無償化の選択を迫った」とあるが、これは「限られた予算の中で、そういう選択をせざるを得ない状況」が背景にあることを無視している。なぜ予算が限られるのか、財政が赤字なのか、赤字の要因であるハコモノを作ったのは誰かまで掘り下げれば、前々市長と市政刷新ネットワークの仲間たちによる市政の私物化にいきつく。無印良品が否決されたのは、「市政刷新ネットワークのメンバーが無印良品を知らない」「市長の提案はすべて否決する」「外部から企業がやってくると自分の企業の利権が損なわれる」からだ。

 氷山に例えれば、海上に浮かんだ部分だけしか見ていない。だが、タイタニック号に致命的な損傷を与えたのは氷山の水面下にある部分なのだ。そしてタイタニック号は沈んだ。市政刷新ネットワークがS市長にやっていることは水面下にある部分と言える。そこまで見ることなく、Bさんは動画を作り、作家は本を書く。しかも、それが真実だと主張する。

 

 こいつだけは都知事にしてはいけないという主張には、個人的な解釈を事実のように伝えようとしているものが多い。これは俺が市政刷新ネットワークのブログで使った手法である。ただ、俺はこの手法を意識的に使った。事実と解釈との違いや、Sの主張を理解できる人なら「市政刷新ネットワークってのはやばい団体だな」とわかるはずだ。

 しかし、候補者を貶めようとする主張の多くは、本人も事実と解釈との区別がついていないものが多いように感じる。結果、陰謀論的解釈で不安を煽り、立候補者に対する不評被害、偏向報道になっているものが少なくない。そういうレベルの主張を信じてしまう人も少なくない。そもそも、放送・出版などのマスコミにもそういう報道が目立つ。

 

 根拠のないネガティブキャンペーンは昔もあった。だが、それを信じる人は少なかった。しかし今は、根拠のないネガティブキャンペーンが選挙の結果を左右する可能性が高い。

 時代の変革期・過渡期にあるんだなと思う。

 Sが、時代よりも早く登場したことで不利益を被らないことを祈るしかない。