市政刷新ネットワークのブログを書くのは億劫である。

 最近はネタも使いまわしになってきて、更新回数も減っている。

 何より、少し大きなシナリオ仕事があって、その打ち合わせや原稿書き、推敲が結構忙しい。

 だが、Sの都知事出馬に対して無言というわけにもいかない。

 

 仕方ない…。一応こういうプロットで書いた。

 ・任期を残しての辞職は無責任である。

 ・Y女史との恫喝裁判、ポスター裁判などはどうするのか。

 ・A町保育所の移転など重要案件はどうするのか。

 

 書きながら思った。それぞれの案件は「市議会議員が解決に努力するものだろう」である。裁判は市政刷新ネットワークがふっかけたものだ。保育所の問題が長引いているのは田んぼアート事業を再開させるため、反対×時間稼ぎをするという市政刷新ネットワークの戦略だ。ばかばかしい。

 そして、最後に「S市長をこの町から追放し、市政刷新ネットワークは勝利をおさめた」と締めくくった。いやいや、最初に「任期を残しての辞職は無責任」って言っているでしょである。矛盾も甚だしい。

 このくだりは、記者会見のSのセリフにヒントをもらっている。

 ある記者が、「都知事選出馬となれば、任期終了前に市長を辞職することになりますね。辞職には市議会の承認が必要ですが、承認は得られますか」と質問した。

 Sは、「だって市議会は私に辞めて欲しいわけでしょ。きっと賛成ですよ。うるさい市長がいなくなるわけですから」と返した。

 

 市長の辞表は議長に提出される。受け取った市政刷新ネットワークのO議長は、それをそのまま議会事務局に提出し、あとは機械的に辞職日・市長選の日程が決まった。また、市長辞職に伴う日数の関係で、昨年亡くなった議員の補欠選挙も同時に行われることになった。

 これらの事実を多くの人は報道で知ることになる。

 O議長は、市長から辞職届が出たことを市政刷新ネットワークの数名に口頭で報告しただけである。市政刷新ネットワークの議員でさえ、Sの辞表を見た者は少ない。

まして、市政刷新ネットワーク以外の議員は辞表が出たことすら知らなかった。

 

 市議選と市議会議員の補欠選挙は7月7日と公示された。

 都議会と同日である。

 

 自宅では姉と母とが慨嘆していた。

 S市長がいなくなったら、この町どうなるのである。もし市政刷新ネットワークが推薦している元郵便局長以外に立候補者が出なければ、彼が無投票当選となる。そうすれば5年前に逆戻りだ。

 しかも、俺は東京に出る。姪は俺の母校に合格し、4月から県庁所在地で一人暮らしを始める。「市長がいなくなる、家から3人出ていく、この町の人口減少加速してるじゃない」となかなか冴えたことをいう。

 

 なるほどと思った。Sが市長になる前、俺も含めて我が家で時代の変化、日本の人口動態が話題になることなんかなかった。日々の暮らしが、実は議会によって決定されていること、議員は市民が選挙で投票した人であることに自覚もなかった。

 そんな人たちが、今は絶望感にとらわれ、この町の将来に危機感を持つようになったのだ。それは、Sが市長になったおかげだ。功績と言ってもよい。 

 W議員や山川さんがこの町の議会を支配することで利権を独占し、自分の事業だけを太らせていったことに多くの市民が気づいたのだ。さらに言えば、W議員や山川さんのような議員は国会にもいる(文字通り居眠り議員もいる)。市政刷新ネットワークのような政治団体は複数あって、東京オリンピックや大阪万博のような事業で利権構築・利権誘導をして私腹を肥やしている。

 そこまで学んだのだ。そして、この町の次の市長選が無投票で終わらないことを願っている。投票によって自分の意思を示すことの重要性に目覚めたのだ。